政治・経済

 通信市場の競争政策の在り方を2月から議論してきた総務省の情報通信審議会ICT基本政策特別部会は10月16日、報告書を発表した。

 契約事業者以外のサービスを使えないように制限するスマートフォンのSIMロック解除の義務化や、一定期間内は無償で解約できるクーリングオフ(初期契約解除ルール)の導入など、料金低廉化や消費者保護に向けた政策方針を打ち出したものの、NTT東西が既に受付を開始した光サービスの事業者向け卸売りでは、通信事業者が強く求めていた卸料金の開示基準など透明性確保などの重要課題は先送りとなり、電気通信事業法改正に向けた具体策は総務省の検討に委ねることになった。

 来年度からのSIMロック解除を携帯電話事業者に義務化することによって、利用者は同じ端末で割安なサービスなどに乗り換えることが容易になる。仮想移動体通信事業者(MVNO)などによる格安スマホの普及を後押しし、高止まりしている利用料金の引き下げ効果も期待できるとしている。

 総務省は2010年に事業者にSIMロック解除を要請するガイドラインを策定したが、ドコモを除いてほぼ解除していないのが実態。ガイドラインを改正し、解除の実効性を担保することにした。しかし報告書には、ロック解除を義務化する期間について、購入からどのくらいにするかは言及しなかった。事業者は「2年契約後」を主張しているが、総務省はより短縮したい考えで、半年程度になる可能性もある。

 NTTは、特別部会の検討が始まった5月に、光サービスの卸売り販売を発表したため、部会ではNTTやNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの経営トップを招請してヒアリングを行うなど急遽、卸売りを議論の俎上に載せた。

 特別部会では、多様な新サービス創出や光回線の利用率向上の観点から卸売りを容認したが、現行の電気通信事業法では、両社で合意した場合には相対取引が認められている卸売り料金については、何らかの開示が必要との判断を示した。

 KDDIやソフトバンクなどは公正競争確保のために、NTT東西が「支配的事業者」であるNTTドコモやNTTコミュニケーションズにいくらで卸売りするかが問題であるとして、グループ内取引の透明性確保を強く要求している。しかしNTT幹部は「相対取引の料金は経営情報なので、総務省や審議会には出しても公表はできない」と頑なな姿勢。11月中旬には制度改正案をまとめる方針だが、納得のいく情報開示は容易ではなさそうだ。

関連記事

好評連載

深読み経済ニュース

一覧へ

2015年の経済見通し

[連載] 深読み経済ニュース解説

永濱利廣

[連載] 深読み経済ニュース解説

再デフレ化に突入し始めた日本経済

[連載] 深読み経済ニュース解説

消費税率引き上げ見送りの評価と影響

[連載] 深読み経済ニュース解説

安倍政権が解散総選挙を急ぐ理由

[連載] 深読み経済ニュース解説

日銀による追加緩和決定の影響は!?

永田町ウォッチング

一覧へ

実録! 関西の勇士たち

一覧へ

ワンマンシリーズ(7)稀有のバンカー、大和銀行・寺尾威夫〈1〉

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第20回)

実録! 関西の勇士たち

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第19回)

ワンマンシリーズ(6)三和の法皇・渡辺忠雄〈3〉

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第18回)

ワンマンシリーズ(5) 三和の法皇・渡辺忠雄〈2〉

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第17回)

ワンマンシリーズ(4) 三和の法皇・渡辺忠雄〈1〉

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第16回)

ワンマンシリーズ(3)住友銀行に残る堀田の魂魄

ビジネストレンド新着記事

注目企業

一覧へ

刺激を浴びて徹底的に考え抜くことで自らを変革する―― 鎌田英治 グロービス 知命社中代表

「創造と変革」を掲げリーダー教育事業を展開しているグロービス。未来が予見しづらい混迷の時代を迎え、まさに新たな時代を切り拓いていくリーダーが求められている。そのような状況を受けて、グロービスは昨年、新たに執行役員以上に限定したエグゼクティブ向けのプログラム「知命社中」を開設した。[PR]次世代を担う経営リーダ…

201710_KEIZAIKAI_P043_GLOBIS_CATCH

ワンストップで手厚くサイトの売却をサポート――中島優太(エベレディア社長)

「日本初」にこだわる男のユニークな発想とビジネス――佐野秀光(情報通信ネットワークグループ社長)

新社長登場

一覧へ

「技術立脚の理念の下、付加価値の高い香料を開発します」――高砂香料工業社長 桝村聡

創業から95年、海外に進出してから50年以上たつ国際派企業の高砂香料工業。合成香料では日本最大手であり、国際的にも6%以上のシェアを持つ優良企業だ。 100年弱の歴史を持つ合成香料のトップメーカー ── まず御社の特徴をお聞かせください。 桝村 1920年創業ですから、2020年に100周年を迎える…

桝村 聡

「ネット広告が変わってもクライアント本位の姿勢は変わりません」--バリューコマース社長 香川仁

「最新情報を発信、人と企業の働く環境を良くしていきます」--マンパワーグループ社長 池田匡弥

イノベーターズ

一覧へ

老舗コニャックメゾンがブランド強化で日本市場を深耕――Remy Cointreau Japan代表取締役 宮﨑俊治

フランスの大手高級酒グループ、レミー・コアントロー社の日本法人。18世紀から愛飲されてきた名門コニャックの「レミーマルタン」や世界有数のリキュール「コアントロー」をはじめ、スピリッツやウイスキーなど戦略的なラインアップを日本市場で展開している。同社の宮﨑俊治代表取締役に事業展開について聞いた。 &nbs…

20150609_INNOV_P02

デザイナーズ家具のEC販売で業界の“常識打破”に挑戦――リグナ社長 小澤良介

内装空間の総合プロデュースで想いをカタチに創り上げる――ユニオンテック社長 大川祐介

大学の挑戦

一覧へ

専門分野に特化した“差別化戦略”で新設大学ながら知名度・ブランド力向上を実現――了徳寺大学・了徳寺健二理事長・学長

2000年設立で、了徳寺大学が母体のグループ法人。医療法人社団了徳寺会をグループ内に持つ。大学名の「了」は悟る、了解する、「徳」は精神の修養により、その身に得た優れた品性、人格を指す。「了徳寺」は人間としての品性、道を論す館の意味を込めた大学名だ。 聞き手=本誌/榎本正義 、写真/佐々木 伸 教育部門と…

大学の挑戦

創立100周年を控えて「世界に貢献し、インパクトを与える人」の育成に努めます――西南学院大学・K.J.シャフナー学長

「“STAND BY YOU”のスローガンの下、学生一人ひとりに寄り添う教育を」――中央学院大学・佐藤英明学長

企業eye

一覧へ

不動産の現場から生産緑地の将来活用をサポートする――ホンダ商事

ホンダ商事は商業施設や宿泊施設の売買仲介、テナントリーシングを手掛けている。本田和之社長は顧客のニーズを探り最適な有効活用を提案。不動産の現場から、生産緑地の将来活用など社会問題の解決にも取り組む。── 事業の概要について。本田 当社は商業施設やホテル、旅館の売買・賃貸仲介(テナントリーシング)を…

企業eye

社員の人間力を武器に5期連続増収を果たす投資用不動産会社――パートナーズ

クラウドソーシングを活用した動画制作やオンライン動画制作プラットフォームを提供――Crevo

経済界からのお知らせ

最新号のご案内

経済界2018年6月号
[特集]
なぜ、あの人についていくのか 求心力の秘密

  • ・松本 晃(カルビー会長兼CEO)
  • ・木股昌俊(クボタ社長)
  • ・迫本淳一(松竹社長)
  • ・水田正道(パーソルホールディングス社長CEO)
  • ・辻 発彦(埼玉西武ライオンズ監督)

[Special Interview]

 永守重信(日本電産会長兼社長CEO)

 売り上げ10兆円を目指す 働き方改革と人材育成の在り方

[NEWS REPORT]

◆不祥事続出でも企業が仮想通貨に群がる理由

◆通信事業親子上場に踏み切るソフトバンクの思惑

◆コーポレートガバナンスの呪縛〜お家騒動はなぜ繰り返されるのか〜

◆欧米名門大学への登竜門 ボーディングスクールが注目される理由

[特集2]

 働き方改革の闇

ページ上部へ戻る