政治・経済

 スポーツツーリズムの観点からインバウンド促進が期待されているのが、リゾートにおけるアクティビティとしてのスポーツだ。具体的にはリゾート地におけるゴルフやスキーとなる。これらのスポーツアクティビティとの連携に強みを発揮しているのがプリンスホテルだ。西武グループ全体のシナジーを生かして、外国人旅行客の獲得を進めている。

プリンスホテルはグループおよびシティ・リゾートで連携

 外国人旅行客の獲得はホテル業界にとっても必須の課題だが、プリンスホテルは比較的早期にインバウンドの取り組みを開始している。

軽井沢プリンスホテルスキー場

軽井沢プリンスホテルスキー場

 2012年度の事業計画の策定に当たって掲げた重点施策の1つにインバウンドが含まれていた。策定当時は11年3月に東日本大震災が発生し、国全体でも訪日外国人数の落ち込みが厳しい状況だった。プリンスホテルとしては今後インバウンドをどう増やしていくかということをいち早く重点的な施策に位置付けた。11年12月に構造改革を実施し、インバウンド推進に向けて社内的に横串を通す組織として「インバウンド委員会」を12年春に立ち上げた。「これまで着実にステップを踏んできたことと、外部環境が改善したことで、非常に良い成果が積み上がってきている」(荒原正明・プリンスホテル事業企画部長)という。

 プリンスホテルはシティからリゾートまで全国に幅広くチェーン展開する中で、シティに関しては、インバウンドはある程度ボリュームが取れるようになってきている。今後はクオリティを高め、ADR(平均客室単価)を上げていくフェーズにある。一方、リゾートについては、今まさにボリュームを取っていく段階に入ってきている。リゾートの展開としては、ホテルに付随したゴルフ場やスキー場で、これらのアクティビティを提供できることが強みとなる。特にこれから冬を迎えるにあたりスノーリゾートとして、いかに外国人旅行客を取り込むかが強化ポイントとなっている。

 リゾートのボリューム向上にあたっては、シティとリゾートの連携を重視している。例えば、成田空港や羽田空港から都心に入った外国人旅行客に品川のプリンスホテルに滞在してもらい、その後で軽井沢などのリゾート地のプリンスホテルに滞在し、夏はゴルフ、冬はスキーを楽しむ。冬場は品川プリンスホテルから苗場プリンスホテルまでのシャトルバスを西武バスが運行しており、外国人旅行客をグループのリゾート地に誘導する。こういったグループ間連携やシティ・リゾート間のシナジーで、インバウンドを促進させる。

リゾートの魅力強化で外国人旅行客を獲得

 スノーリゾートについて、プリンスホテルでは規模とトレンドを強みとするスキー場を有する。規模については、苗場スキー場およびかぐらスキー場を含む「マウント苗場」のエリアは、国内最大級で海外にも負けない規模のスノーリゾートとなっている。トレンドについては、「スキーイン、スキーアウト」が可能なホテル前ゲレンデが重要な要素になっている。プリンスホテルが運営する9カ所のスキー場のうち6カ所のスキー場がホテル前ゲレンデを有し、ホテルを中心としてバリューアップを図っていくスキー場となっている。

 また、海外展開として、中国吉林省にてスノーリゾート開発計画「吉林松花湖スキーリゾートプロジェクト(仮称)」が進行中。12月オープンの予定でスキー場およびホテルの運営受託を行う。スキー場は苗場とほぼ同等の規模を有し、中国の富裕層をターゲットとしている。プリンスホテルとしては、同プロジェクト成功によりプリンスホテルの海外での認知度を向上させる構えだ。「吉林のスキー場を利用した富裕層が苗場にも来てもらえるようにする」(荒原氏)と中国富裕層のインバウンド獲得の期待が膨らんでいる。

軽井沢72ゴルフ東コース

軽井沢72ゴルフ東コース

 ゴルフのインバウンドについては、まだ需要はそれほど大きくないが、チャンスは十分にあるととらえている。ゴルフ場については軽井沢72ゴルフで9月に世界アマチュアゴルフチーム選手権を開催したこともあり、同ゴルフ場の人気が高まっている。大会が行われた東コースから予約が埋まっていく状況だという。

 「日本人が海外に行った時に場所に応じて、例えばハワイに行ったらゴルフをやろうかということになる。リゾートにボリュームが増えてくることで、ゴルフのニーズの高まりも期待できると思う」(荒原氏)

 その意味で、スキー場とゴルフ場、さらにショッピングエリアまでを含めた「プリンスグランドリゾート」として展開する軽井沢はプリンスホテルの旗艦拠点となる。同社としても外国人旅行客獲得に向けてアピールしていく方針だ。

(文=本誌/村田晋一郎)

 

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