政治・経済

 訪日外国人が増加すると、受け入れる側の外国語対応が課題となる。移動の身近な足となるタクシーも外国人の利用が増えてくる。タクシー業界ではどう対応していくのか。

日本交通の観光タクシー

日本交通の観光タクシー

 タクシー・ハイヤー大手の日本交通によると、一般的な外国人の利用については、現状で特に大きな問題はないという。タクシーの場合、目的地さえ分かれば基本的な対応はできる。

 一方で乗客とのコミュニケーションツールとして、東京タクシーセンターが作成した「指差し外国語シート」がある。実車中に想定されるフレーズを英語、韓国語、中国語で表記したもので、乗務員が外国語を話せなくても、シートに記載されているフレーズを指さすことで、簡単な意思疎通を図ることができる。さらに、意思疎通がスムーズに行かない場合の対策として、日本交通では、無線センターに24時間対応の英語専用ダイヤルを設けており、必要に応じて乗務員に代わって対応する。

 また、日本交通では、毎朝業務前に、乗務員が実車中の挨拶を唱和しているが、早ければこの11月から英語の挨拶の唱和も開始することを計画している。日本交通では送迎に必要な最低限のやりとりを全乗務員が英語でできるようにしていくという。

 タクシー業界にとって、インバウンド観光で注目されているのが観光タクシーだ。観光タクシーは、乗務員が乗客の観光に同行しガイドも行う。京都や沖縄などの観光地では従来から一般的なサービスとなっていたが、東京でも2012年に東京観光タクシー認定ドライバー制度が発足。家族や友人など最小単位で移動できるタクシーの利点を生かして需要が増えており、今後の成長が期待されている。

 しかし外国人向け観光タクシーの乗務員は英語を話せるだけでなく、英語で観光ガイドをする能力が求められる。日本交通では、専門能力を有する精鋭乗務員による「エキスパート・ドライバー・サービス(EDS)」の1部門として、観光タクシーのサービスを提供している。EDSで外国語の観光ガイドができる乗務員も在籍しているが、まだ少ないという。このため、人員の育成が喫緊の課題となっている。

 東京オリンピック・パラリンピックが開催される20年までに、東京ハイヤータクシー協会は英語対応の観光タクシーの乗務員を300人に増やす目標を掲げている。それに合わせて、日本交通でも英語対応の観光タクシーの乗務員を100人育成する方針。語学への対応力の高い新卒を積極的に採用するほか、来年からは外部の研修機関と提携し、独自の研修プログラムをスタートさせるという。

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