マネジメント

謙虚でなければ営業マンではない

 前回、先輩のM氏から直伝の《営業の極意》について伝えた。M氏は20代の半ばで年収1億円超えを果たした、伝説の営業マンである。

 M氏が強調するのは、お客様に対したときに営業マンはもっと謙虚になれ、ということだ。【お客様は神様です】とは往年の流行歌手三波春夫の有名なせりふなのだが、営業マンも、聞かれれば【お客様が中心】とオウムのように声をそろえて答えるだろう。

 ところが実際にお客様の前に立ったときの営業マンは、たちまち自分の都合しか考えなくなる。自分の都合=何が何でも売りたい人になる。それが正直な営業マン(ただし三流)の姿と言っていい。

 売りたいオーラが全身からほとばしる。テクニックを、言葉を尽くして、お客様を説得にかかる。そんな営業マンはお客様に嫌われて当然だ。だから、いつまでたっても三流の営業マンのままなのだ。

 ここを根本から変えなくてはならない。自分はお客様中心と言いながら実は違う、自分中心なんだと謙虚に認めるところから、本当に、好成績をムリなく収められる営業マンに変わることができるようになる、というのである。

 ではどうしたらいいのか。

 売ろうとする勿れ、である。自分の都合を封印し、お客様の言葉を、考えを、悩みを、望みを傾聴せよというのだ。

「相手に没入する」

「自分を捨てる」

 前回書いたこれは非常に重要なことである。

 実際に、M氏以外の何人かの《億超えの営業マン》の共通項は何かを調べたことがあるが、「相手に没入する」「自分を捨てる」という、ある意味でたいへん難しいことを例外なく行っていたものだ。

 謙虚にお客様の声に聞き入り、売ろうとしないと言うならば、お客様を説得する技術も要らない。そういう意味で、営業には《販売技術=テクニック》は何ほどの価値もなくなるのではないか。

 ということを言った後で、それでは営業マンには、まったくテクニックは必要ないのか、と私自身に念を押してみよう。

 答えは「NO」である。肝心の「相手に没入する」「自分を捨てる」という段階で、ある重要なテクニックが必要になるのである。

 これは私が『1000円ゲーム』(経済界刊)で触れていることなのだが、ロープレとして実際に1000円ゲームをする際に、相手のニーズをつかみ、それを中心として自分の情報や人脈を展開するための型=テクニックを、私はつくったのだ。

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