政治・経済

時代と共に躍進する住友・堀田庄三氏

 戦後の財閥解体で、住友本社は、鉱業、化学、金融など18のセクションに分断され、それぞれが独立企業体に様変わりした。

 GHQの厳命で独立した18社は、社名に「住友」の冠が戴けず、銀行も「大阪銀行」の名でスタート。先輩らが公職追放で去り、常務に抜擢された堀田庄三は昭和22年に副社長、27年にトップの座に就き、社長の呼称を頭取に変更。同年12月には「住友銀行」の行名を復活させた。

 時は、戦後の経済復興を牽引した繊維産業の隆盛期で、織機を「ガチャッ」と動かせば万と儲かる〝ガチャ万時代〟。この時代最大の問題は、労働争議だ。堀田が経済同友会で掲げた労使協調路線は、産業界で巧みに取り入れられたものの、昭和29年春先から各所で〝赤旗〟が振られ、労働争議が社会問題化する。なかでも、歴史に残る労働争議が近江絹絲(現オーミケンシ)の争議だった。三菱銀行・千金良宗三郎、日本勧業銀行・堀武芳の両頭取が調停に乗り出すも、労組の抵抗に空しく手を引き、窮地の近江絹糸首脳の要請で堀田が動いた。過日、近江絹糸の元社長で筆頭株主だった夏川鐡之助(今年3月逝去)に堀田評を聞けば、「労使をともに圧倒する気品と風格、そして勇気ある行動力。最高の調停役でした」と絶賛した。

 昭和32年夏、堀田は、藤山愛一郎の経済外交の一翼を担うべく、2カ月間にわたる欧州移動大使の任務を引き受ける。この時堀田が記した緻密なレポートは霞が関の役人たちを唸らせ、同時に、「住友グループの天皇」への道を切り開く。事実、その3年後、グループ首脳たちの要請で、堀田は住友家評議員会委員長に就任する。時の首相・池田勇人とは京大同期で、財界首脳の永野重雄、桜田武、水野成夫とはツーカーの仲。ゆえにマスコミは、堀田を含めた4人を「財界四天王」(諸説あり)と呼び、とりわけ金融界での堀田の発言力は一層強力になった。住友銀行でも、堀田の鶴の一声で昭和40年の河内銀行合併が決まり、42年には世界初の総合オンライン・システムが導入され、銀行経営の歴史に新たな1ページが加えられた。

 進取な気風と合理化精神に則った行動力──。堀田の能力は海外戦略でもいかんなく発揮されていく。

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