マネジメント

 「検索エンジンを通じて、自分の好ましくない過去がインターネット上で暴露される」 この問題をめぐり、欧州連合(EU)の司法裁判所は今年5月、プライバシー権の一種として「忘れられる権利(right to be forgotten)」を認め、それに基づき「非公開請求」を認める判決を下しました。今回は、この事例を踏まえながら、プライバシー権の今後の行方を考察します。

検索エンジンの管理責任

 ブログやSNSなどの普及に伴い、特定人の前科に関する記事や、ある会社の誹謗中傷に関する記事などを見かけるケースが増えています。特に問題となっているのは、GoogleやYahoo!などの検索エンジンで自らの名前を打ち込むと、自分にとって好ましくない情報が検出されることです。ところが従来、検索エンジンの検索結果に対する削除を請求するのは困難とされてきました。理由は、削除の対象となる情報の管理主体は検索エンジンではないからです。ゆえに、検索エンジン側は、情報の削除要請に応じてこなかったわけです。

 もちろん、検索エンジンそのものは、社会的にも有益なサービスで、誰かの権利を侵害するために作られたものではありません。ところが、キーワードを頼りにインターネット上のあらゆる情報を自動で引き出してくる検索エンジンの機能的な性質上、個人の好ましくない情報を露呈させる可能性があり、その不幸に見舞われた人は、検索エンジンで大きな不利益を被っているにもかかわらず、当該情報の削除を検索エンジンに求めることができないというジレンマの中に置かれていたのです。今年5月にEUで下された判決は、こうした状況に一石を投じる画期的なものだったと言えるでしょう。

EU判決のインパクト

 EU判決の発端は、あるスペイン人男性が、自分の名前をGoogleで検索した際に、「自宅を差し押さえられた」という16年も前の過去が表示されたことです。それを不服とした男性は、当該情報の削除をGoogleに請求。EU司法裁判所は、「忘れられる権利」という新たな権利を認定した上で、その男性の請求を認容したのです。

 この判決の画期的な点は、「情報管理者(controller)はGoogleである」と判断したことにあります。Googleはこれまで、情報の削除請求を受けるたびに、一貫して「検索結果は自動的・機械的にサイトの記載内容・所在を示しているにすぎない」と主張し、請求を退けてきました。

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