テクノロジー

 今年のノーベル物理学賞は、青色発光ダイオード(青色LED)の開発を対象として、赤崎勇(名城大教授)、天野浩(名古屋大学教授)、中村修二(米カリフォルニア大サンタバーバラ校教授)が受賞した。

 青色LEDとは、電圧を加えると発光する半導体素子のことであり、赤色、黄色はできていたので、青色の開発が期待されていた。赤崎、天野両氏が青色LEDの原理を解明し、中村氏が量産技術を確立した。今回のノーベル賞が3人に授与されたことに科学技術の将来にとって評価の在り方に対する意義がある。

 ここで思い出すのが、アジア大会での陸上400メートル×4リレーで日本が男子(金丸、藤光、飯塚、加藤)で16年ぶりの金メダルを獲得したことだ。リレーは、第1走者から第4走者まで全員が金メダルをもらえる。この当たり前のことが、科学技術では難しい。コツコツとデータを取った技術者が日の目を見ることはなかなかない。リレーをチームで表彰するように、科学技術もチームで評価することが今後必要となる。

 科学技術には死の谷という概念がある。これは基礎研究までは進むが、なかなか産業化や製品化には結び付かないことをいう。死の谷を克服するために、産業化や製品化に結び付かない基礎研究の在り方が問題視され、研究者も製品化への意識を強く求められるようになった。このことは、陸上のリレー競技において、すべての研究者にゴールテープを切る役目を求めていると勘違いを与える可能性がある。研究者には、基礎研究を得意とする者や、コツコツとデータを貯めていくことを得意とする者もいる。製品化には、製品化を得意とする研究者が当たればよい。それぞれの研究者の特徴を認めた評価が重要だ。ただし、製品化を進めるためには、データの共有化が必須となる。このデータ共有を容易にするためには、データを提供した研究者の評価を高めることが重要だ。

 これからの科学技術に関する研究は、チーム力が不可欠である。しかしスポーツと異なり、科学技術者のチームワークを重要視する教育は行われていない。スポーツにあるチームプレーの練習に当たるものが科学技術の世界では難しい。このチーム力向上の仕組みづくりは、産官学を挙げて工夫をしていく必要がある。

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