政治・経済

 日銀が10月31日の金融政策決定会合で、追加の金融緩和を決めた。足元の物価上昇が鈍化しているとの理由で、資金供給量(マネタリーベース)を年80兆円まで増やすものだが、意表をつく緩和に、市場では急激な円安や株高が進行。安倍晋三首相による12月の消費税再増税の決断が迫っており、景気底上げを求める財務省や政府に対する援護射撃ではないかとの声も上がっている。

 「金融緩和の目的はデフレ不況からの脱却。それに伴い起きた円安は、副次的だ」。11月4日の閣議後会見で、麻生太郎財務相はこう述べるにとどめた。しかし、市場からは今回の金融緩和に対し、「財務省と示し合わせたのではないか」という声も上がっている。

 と言うのも、10月31日は、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が、運用試算に占める国内株式を増やす方針を表明した日。日銀の緩和は株価指数連動型の上場投資信託(ETF)などの購入量を3倍に増やす策も含んでおり、GPIFの「株買い」方針と軌を一にする。

 また、今年4月の増税の反動減が長引き、景気回復はもたついているため、消費税の再増税に反対する声も市場に上がりつつある。10月29日には米連邦準備制度理事会(FRB)が量的緩和の終了を決めたばかりで、「日銀は動かないのか」という声も市場では高まっていた。

 こうした日銀の動きを、取りあえず市場は好感した。しかし、今回の緩和では、国債の買い入れも30兆円増やす。政府の赤字の穴埋めをしていると受け取られ、放漫財政の懸念から、国債が売り浴びせにあう恐れもある。緩和の決定にあたり、政策委員9人のうち賛成が5人、反対が4人という僅差だったことも、こうした懸念を裏付ける。

 再増税を強行したい財務省にとって、日銀の協力をあおごうが、経済状況を良くして再増税の判断につなげたいところ。しかし、財政再建のための増税のお膳立ての方法が財政規律を緩めるものなら、本末転倒になりかねない。

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