政治・経済

アレン・マイナー

アレン・マイナー
1961年生まれ。米ユタ州出身。86年ブリガムヤング大学卒業後、米オラクル入社。87年日本オラクル初代代表。99年自己資金で立ち上げたサンブリッジ代表取締役としてアイティメディア、セールスフォース・ドットコム等に投資し実績を上げる。その他数多のベンチャー投資を手掛け、新産業の創出に貢献する。

 ベンチャーへの投資で重要なのは、IPOの時期ではなく、利益が出ない状態でもトップラインが30〜40%伸びていて、今後も成長を続けられる見込みがあるかどうかだ。成長のための組織構築、商品開発などを続けられれば、いつかは大きな利益が出る。将来のプロフィタビリティを買うという考え方だ。

 日本でも、ジャスダックNEOや東証マザーズにおいて、赤字でも成長性があればどんどんIPOさせてきたが、結局はトップラインを伸ばせず、小さな利益しか出せない企業が増えた。

 一方、日本で評価できるのは、米国と違って大手証券会社が収益性の小さいIPOでも引き受けてくれる点だ。手数料が数千万円レベルでも、証券会社が責任を持って長く付き合ってくれる。日本の証券会社には、IPOを手掛けた実績がクレジットになるという考え方があるからだ。何十件とIPOを手掛けた中で大きく伸びる企業があれば、セカンドオファーの機会が得られるし、社債発行のようなケースでも、主幹事になりやすいといった利点がある。これは、プロジェクト単体の儲けを重視する米国との大きな違いだ。

 米国のVCは、日本のVCほどIPOにこだわらない、というよりこだわれない。米国市場でのIPOは、売り上げが100億円レベルで確実な成長が見込めなければ難しいが、10年程度のファンドの期間では困難だ。ネットバブルのようなブームの時を除いて、5年や10年で組織を作り、売り上げを作ってIPOに持って行ける経営者やキャピタリストは滅多にいない。

 結局、ファンド期間内にイグジットして、投資家に還元するにはM&Aをやらざるを得ない。90年代以降は、大手企業もネット戦略構築の必要性から、若い企業をどんどん買っていった。ファンド期間内にイグジットを見つけたいというVC側のプレッシャーもあった。

 アントレプレナーの中には、1つの事業でIPOまで我慢する人が少ないことも影響している。会社をきちんと引き継いでくれるところが見つかれば、M&Aを行ってほかのアイデアを次々に事業化していく。こうした循環が米国市場では働いている。日本では、M&Aは会社を処分する方法として行われるケースが多い。キャピタリストがM&Aを主導することはまれで、ファンドの期間内にIPOしなければならないという気持ちのほうがまだ強いようだ。(談)

 
経済界 電子雑誌版のご購入はこちら!
雑誌の紙面がそのままタブレットやスマートフォンで読める!
電子雑誌版は毎月25日発売です
Amazon Kindleストア
楽天kobo
honto
MAGASTORE
ebookjapan
 

雑誌「経済界」定期購読のご案内はこちら

経済界電子版トップへ戻る

関連記事

好評連載

深読み経済ニュース

一覧へ
一般社団法人かぎろい出版マーケティング代表 西浦孝次氏

[連載] 深読み経済ニュース解説

2015年の経済見通し

[連載] 深読み経済ニュース解説

再デフレ化に突入し始めた日本経済

[連載] 深読み経済ニュース解説

消費税率引き上げ見送りの評価と影響

[連載] 深読み経済ニュース解説

安倍政権が解散総選挙を急ぐ理由

実録! 関西の勇士たち

一覧へ

水辺に都市が栄える理由と開発の事例を探る

[特集 新しい街は懐かしい]

水辺に都市が栄える理由と開発の事例を探る

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第20回)

稀有のバンカー、大和銀行・寺尾威夫とは

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第17回)

三和銀行の法皇・渡辺忠雄の人生

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第14回)

住友の天皇・堀田庄三の人生

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第11回)

商売の神様2人の友情 江崎利一と松下幸之助

ビジネストレンド新着記事

注目企業

一覧へ

次なるステージを駆け上がる日本電子「70年目の転進」–日本電子

 最先端の分析機器・理科学機器の製造・販売・開発研究等を手掛ける日本電子(JEOL)は、ノーベル賞受賞者を含むトップサイエンティストや研究機関を顧客に、世界の科学技術振興を支えてきた。足元の業績は2019年3月期で連結営業利益、同経常利益、同最終利益がいずれも過去最高を更新。かつては技術偏重による「儲からない…

独自開発のホテル基幹システムで業務効率化と顧客満足度を向上–ネットシスジャパン

逆転の発想で歴史に残る食パンを 生活に新しい食文化をもたらす–乃が美ホールディングス

新社長登場

一覧へ

森島寛晃・セレッソ大阪社長が目指すクラブ経営とは

前身のヤンマーディーゼルサッカー部を経て1993年に創設されたセレッソ大阪。その25周年にあたる2018年12月に社長に就任した森島寛晃氏は、ヤンマー時代も含めて通算28年間セレッソ一筋、「ミスターセレッソ」の愛称を持つ。今も多くのファンに愛される新社長が目指すクラブ経営とは。聞き手=島本哲平 Photo=藤…

森島寛晃・セレッソ大阪社長

カリスマ創業者の後任として描く「新しいマネックス証券像」― マネックス証券社長 清明祐子

「若者需要の開拓でビール市場を盛り上げていく」塩澤賢一(アサヒビール社長)

イノベーターズ

一覧へ

非大卒就職マーケットの変革に挑む元教師の挑戦―永田謙介(スパーク社長)

日本企業の年功序列と終身雇用が崩壊に向かう中、制度を支えてきた大学生の新卒一括採用の是非もようやく議論されるようになってきた。一方、高校卒業後に就職する学生のための制度は旧態依然とし、変化の兆しがほとんど見えない。こうした現状を打ち破るべく、非大卒就職マーケットの改革に挑戦しているのがSpark(スパーク)社…

起業家にとって「志」が綺麗ごとではなく重要な理由―坂本憲彦(一般財団法人立志財団理事長)

勉強ノウハウと法律知識で企業の「働き方改革」を促進する―鬼頭政人(サイトビジット社長)

大学の挑戦

一覧へ

専門分野に特化した“差別化戦略”で新設大学ながら知名度・ブランド力向上を実現――了徳寺大学・了徳寺健二理事長・学長

2000年設立で、了徳寺大学が母体のグループ法人。医療法人社団了徳寺会をグループ内に持つ。大学名の「了」は悟る、了解する、「徳」は精神の修養により、その身に得た優れた品性、人格を指す。「了徳寺」は人間としての品性、道を論す館の意味を込めた大学名だ。 聞き手=本誌/榎本正義 、写真/佐々木 伸 …

大学の挑戦

創立100周年、西南学院大学・K.J.シャフナー学長「世界に貢献しインパクトを与える人材を育てる」〜国際交流・就職支援・インターネット出願〜 

「“STAND BY YOU”のスローガンの下、学生一人ひとりに寄り添う教育を」――中央学院大学・佐藤英明学長

経済界からのお知らせ

最新号のご案内

経済界2020年6月号
[特集] 人材輩出の「新御三家」
  • ・[サイバーエージェント]経営人材を育てる方法 研修より緊張感ある現場経験
  • ・中山亮太郎(マクアケ社長)
  • ・大竹慎太郎(トライフォート社長)
  • ・塚原文奈(ストアーズ・ドット・ジェーピーCEO)
  • ・[楽天]ベンチャー精神は創業者が体現する
  • ・体育会的ノリと目標必達の企業風土が育てた起業家群
  • ・[DeNA]意志と情熱を後押しする人材育成術
  • ・橋本 舜(ベースフードCEO)
  • ・鈴鹿竜吾(ライトマップ社長)
[Special Interview]

 飯島彰己(三井物産会長)

 人が成長するために必要なこと

[NEWS REPORT]コロナ禍後の経済地図を読む

◆避けられない合従連衡 日の丸電機の進むべき道

◆自動車業界は大再編必至 生き残れるのはどこだ!

◆存続の危機を迎えた百貨店 小売り業界のEC加速が止まらない

◆“会わずに診る”コロナで広がるオンライン診療

[特集2]

 社長のセルフブランディング

 第一印象/SNS・ネットツール活用/言葉の力/プレゼン技術

 [特別インタビュー]友近(お笑い芸人)

 最強のセルフブランディング術「憑依芸」を語る 

ページ上部へ戻る