政治・経済

PHSが携帯事業者の草刈り場に 

来年10月から、携帯電話とPHS(簡易型携帯電話システム)の間で通信事業者を変更するときも電話番号がそのまま使えるようになる。

 携帯電話の通信事業者間で実施している番号ポータビリティ制度(MNP)をPHS事業者であるウィルコムにも適用するものだ。総務省が、利用者の利便性向上を大義名分に、「日の丸技術」として育成してきたPHSの延命策をまた講じたが、実効は期待できそうもない。

 それどころか、ある証券アナリストは「下手をすれば、草刈り場となって携帯電話事業者に利用者を吸い取られる」と警鐘を鳴らす。

 PHSは小型の電話機を携帯し、移動した先で長距離間の通話やデータ通信を行う通信サービスで、コードレスフォン技術を屋外に拡張。1995年から日本でサービスが始まったが、鉄道系事業者やNTTドコモはその後事業から撤退。現在は、ソフトバンク系のウィルコムだけがサービスを提供している。

 かつて資金繰りが悪化し、総務省の水面下の支援でソフトバンクが買収したが、設備投資も技術開発も遅れ、利用者の流出が止まらなかった。しかし、ソフトバンクが思い切った料金設定などのてこ入れを実施したことで、利用者数も純増に転じており、600万人に届きそうな勢いだ。

スマホより低料金のPHS利用者が増える?

 MNPに携帯電話やスマートフォン(高機能携帯電話)より通信料金が安いPHSが加わったことで、総務省総合通信基盤局は「携帯電話利用者からPHSへの利用者流入が増える」と期待する。ウィルコムも「料金に敏感な人は当社に来てくれるのではないか」と、携帯電話やスマホで高止まりしている通信料金への不満が追い風になるとみる。

 しかし、世界的な規模で高速データ通信「LTE」などの規格作りが進む携帯電話やスマホに対して、PHSは中国政府が推進するTD-LTE方式を採用。日本ではワイヤレスシティプランニング(ウィルコムの一部事業を引き継いだソフトバンクの子会社)1社が提供しているだけ。

 携帯3社が相次ぎ投入するスマホが世界的に普及する中、出入り口を開放すれば、PHS利用者が増えるなどと楽天的に皮算用を弾くのは「日の丸技術」に固執する総務省とウィルコムだけのようだ。

 

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