文化・ライフ

J1昇格を果たすも惨敗が続いたヴォルティス

 四国初のJ1クラブとして注目された徳島ヴォルティス。当初から苦戦が予想されていたが、ここまでとは……。

 全節最下位はJリーグ史上初、開幕9連敗はJ1ワーストタイだった。

 結局、5試合を残してJ2降格が決まった。

ホームで敗戦し肩を落とす徳島ヴォルティスイレブン

ホームで敗戦し肩を落とす徳島ヴォルティスイレブン(Photo:時事)

 監督の小林伸二は開幕前、守備重視の戦い方を模索した。いわゆる〝弱者の戦術〟である。

 しかし、その狙いははずれた。DF陣にケガ人が続出し、安定した守備組織を築くことがなかった。

 4月後半に千代反田充が3週間離脱。ブラジルW杯でリーグが中断していた5月には橋内優也が右足舟状骨を疲労骨折し、約3カ月の離脱を余儀なくされた。

 攻撃は守備以上に重症だった。1試合当たりの平均得点は第31節終了時点で0・48(このままいけばJ1ワースト記録更新の可能性あり)。これでは勝機を見いだすのは難しい。小林はこう言って唇を噛んだ。

 「J1に到達してからどう進むか。クラブも選手も変わらなければならなかった」

 降格の責任はフロントにもある。

 ブラジルW杯が開催されている間、Jリーグは中断した。その期間にロンドン五輪代表の村松大輔、7月にはエステバン(コロンビア)、アドリアーノ(ブラジル)の2人の外国人を補強したが、時既に遅しだった。

 現有戦力でJ1を戦えると思っていたのだとしたら、見通しが甘かったと言わざるを得ない。

 それは小林の次のコメントからも明らかだ。

 「オープンに打ち合うと、どうしても分が悪い。1対1では勝てなかった。個人の力が足りない分を、どうグループで補うか。その重要性を、もう少し(選手たちに)徹底させるべきだったかもしれない」

 昨季の大分トリニータ、そして今季の徳島とJ1昇格プレーオフを制してJ1に昇格したチームが2年続けて最下位で降格する事態を受け、辛口で鳴るサッカー解説者のセルジオ越後は、こんな感想を専門誌に寄せた。

 〈1年をかけて戦うリーグ戦は、それなりに戦力を反映した結果になるわけで、J2で6位だったトリニータや4位だったヴォルティスが一発勝負のトーナメント戦を勝ち上がって昇格しても、結局、J1では草刈り場になってしまう。

 本来なら、J2でもっとじっくりと力を付けたほうがいいチームがJ1に上がってしまうJ1昇格プレーオフは、見直したほうがいいんじゃないかな。〉(『週刊サッカーダイジェスト』11月11日号)

 セルジオが指摘するように13年の大分はわずか2勝(24敗8分け)、徳島は3勝(24敗4分け=第31節終了時点)と散々な結果に終わった。昇格プレーオフの見直しは、避けては通れないのではないか。

J1昇格プレーオフ制度のデメリット

 そもそも、昇格プレーオフとは、どういう制度か。

 これは2012年に始まったもので、J2リーグ戦3〜6位までのJ1クラブライセンスを有している4クラブがトーナメント戦を行い、1つの昇格枠を争う。準決勝(3位対6位、4位対5位)は上位チームのホームで行われ、決勝は中立地で開催される。

 準決勝、決勝ともに一発勝負だが、90分間を終えてタイスコアの場合は延長戦を行わず、リーグ戦順位で上回るチームが勝者となる。

 ちなみに、こうした制度はイングランドやイタリアでも導入されている。日本のJ2では6位のクラブにまで昇格のチャンスが広がり、プレーオフ出場を争う熱戦がリーグ終盤まで続くというメリットがある。

 しかし、ここにきてデメリットも明らかになってきた。J1で、それなりに戦い、存在感を示しての降格なら「この悔しさを、次に生かせ」となろうが、わずかばかりの勝ち点では「体験入隊のようなもの」(J1クラブ幹部)との声に抗えなくなってしまう。

 現在、J2の1位と2位は自動的にJ1に昇格できる。これはいいとして、09年以降、入れ替え戦がなくなったのは寂しくもある。

 例えば昇格プレーオフを制したJ2クラブとJ1の16位クラブが入れ替え戦を行うなど、代案はいろいろとあるのではないか。

 初代Jリーグ・チェアマンの川淵三郎は「Jリーグは歩きながら考える」と語ったことがある。

 それでいいと思う。最善の策が難しいのなら次善の策を用意すればいい。

 対案も示さず、批判だけでは事は前に進まない。今の制度をもう少し続けよう、ならそれでもいい。ただし、期限を区切るべきだろう。

 51クラブに膨れ上がったJリーグを、どう発展させるか。中長期的な視点での議論が望まれる。

 

(にのみや・せいじゅん)1960年愛媛県生まれ。スポーツ紙、流通紙記者を経て、スポーツジャーナリストとして独立。『勝者の思考法』『スポーツ名勝負物語』『天才たちのプロ野球』『プロ野球の職人たち』『プロ野球「衝撃の昭和史」』など著書多数。HP「スポーツコミュニケーションズ」が連日更新中。最新刊は『広島カープ最強のベストナイン』。

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