政治・経済

平石郁生氏は語る 一般的なVCという概念ではない

 われわれの収益構造はVCに近いが、いわゆる一般的なVCという概念では活動していない。ファンドの管理報酬から、活動費を得る以外にも、シード・アーリーのベンチャー発掘イベントを開催したり、インキュベーション施設の運営を手掛けたり、若い起業家たちをシリコンバレーに送り込んだりといった取り組みを行っている。いわば、イノベーションを起こしていくためのエコシステムづくりだ。

平石郁生

平石郁生(ひらいし・いくお)
1963年生まれ。福島県出身。大学卒業後、コンサルティングファーム、外資系広告代理店等を経て91年起業。90年代後半からネットビジネスに携わり、ウェブクルー創業への参画、インタースコープ創業等を経て、2012年サンブリッジ グローバルベンチャーズを設立、社長に就任する。

 インターネットの世界で言えば、起業するための環境は、以前のネットバブル時代と比べると随分と変わった。まずは、通信環境が脆弱だった時代と異なり、今はWiFiでどこでもブロードバンド接続ができるようになった。資金調達の面では、ネットバブル時代と違って、自ら起業して得た資金を投資するエンジェル投資家や、ネットビジネスをよく理解しているVCが増えてきた。

 また、テクノロジーの進歩で、起業コストが劇的に低くなった。以前はサーバーをセットアップするだけで数千万円、場合によっては億単位のコストが掛かったが、今はクラウドサービスを利用すれば数万円で始められる。創業するための資金的なハードルが非常に下がっている。ソーシャルメディアを使えば、テレビや雑誌で宣伝しなくても認知度を高められるので、マーケティングコストも下がっている。

 そうなると、VCの存在意義も問われてくる。お金以外のメリットを提供できなければ、起業家から投資の要請は来ない。VCも得意な領域と、何ができるかを明確にしないといけない。その傾向は最近ではより顕著になった。

 今、われわれは15社に投資しているが、半分以上が海外の企業だ。グローバルに活動基盤があるし、通常の会話もメールも契約書も全部英語で対応できる上、人材ネットワークもある。こうした部分が起業家から評価されている。

 現在は、案件当たり数千万円程度のアーリーステージの投資だが、親会社では事業基盤が出来上がっているクラウド系サービスをシリコンバレーから日本へ持ってきて、ジョイントベンチャーを行う試みを行っている。

 このほかにも、サンブリッジで手掛けてきた、セールスフォース・ドットコムなどのクラウド系サービスを、日本企業に導入するための支援を行っている。これらの活動がグループとしての日本の柱である。(談)

関連記事

好評連載

深読み経済ニュース

一覧へ

[連載] 深読み経済ニュース解説

2015年の経済見通し

[連載] 深読み経済ニュース解説

再デフレ化に突入し始めた日本経済

[連載] 深読み経済ニュース解説

消費税率引き上げ見送りの評価と影響

[連載] 深読み経済ニュース解説

安倍政権が解散総選挙を急ぐ理由

実録! 関西の勇士たち

一覧へ

稀有のバンカー、大和銀行・寺尾威夫とは

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第20回)

実録! 関西の勇士たち

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第17回)

三和銀行の法皇・渡辺忠雄の人生

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第14回)

住友の天皇・堀田庄三の人生

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第11回)

商売の神様2人の友情 江崎利一と松下幸之助

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第7回)

関西財界の歴史―関経連トップに君臨した芦原義重の長期政権

ビジネストレンド新着記事

注目企業

一覧へ

次世代の医療現場を支える病院経営の効率化を推進――保木潤一(ホギメディカル社長)

1964年にメッキンバッグを販売して以来、医療用不織布などの、医療現場の安全性を向上する製品の普及を担ってきた。国は医療費を抑える診断群分類別包括評価(DPC制度)の導入や、効率的な医療を行うため病院のさらなる機能分化を実施する方針を掲げており、病院経営も難しい時代に入っている。ホギメディカルは手術室の改善か…

刺激を浴びて徹底的に考え抜くことで自らを変革する―― 鎌田英治 グロービス 知命社中代表

ワンストップで手厚くサイトの売却をサポートするサイトマ――中島優太(エベレディア社長)

新社長登場

一覧へ

地域に根差した証券会社が迎えた創業100周年―藍澤卓弥(アイザワ証券社長)

中堅証券会社のアイザワ証券は今年7月、創業100周年を迎えた。この記念すべき年に父からバトンを受け継ぎ新社長となったのが、創業者のひ孫にあたる藍澤卓弥氏。地域密着を旗印に掲げてここまで成長してきたアイザワ証券だが、変化の激しい時代に、藍澤社長は何を引き継ぎ、何を変えていくのか。聞き手=関 慎夫 Photo:西…

メディカル事業を横串にすることでシナジーを発揮し、顧客満足度向上へ 伏見有貴(リゾートトラスト社長)

新事業の芽を伸ばすことでさらに大きな個性的な会社を目指す――日髙祥博(ヤマハ発動機社長)

イノベーターズ

一覧へ

元引きこもり青年が「cluster」で創造する新たなVRビジネスとエンターテインメント(加藤直人・クラスターCEO)

バーチャル空間で開催される会議や音楽ライブなどに、3Dアバターで参加できる画期的サービス「cluster」を生み出したのは、元引きこもりのオタク青年だった。エンタメの世界を大きく変える可能性を秘めたビジネスで注目を浴びる経営者、加藤直人氏の人物像と「cluster」の展望を探る。(取材・文=吉田浩)加藤直人・…

日本人の英語学習の課題解決に向け、学習者目線のアプリを開発―― 山口隼也(ポリグロッツ社長)

老舗コニャックメゾンがブランド強化で日本市場を深耕――Remy Cointreau Japan代表取締役 宮﨑俊治

大学の挑戦

一覧へ

専門分野に特化した“差別化戦略”で新設大学ながら知名度・ブランド力向上を実現――了徳寺大学・了徳寺健二理事長・学長

2000年設立で、了徳寺大学が母体のグループ法人。医療法人社団了徳寺会をグループ内に持つ。大学名の「了」は悟る、了解する、「徳」は精神の修養により、その身に得た優れた品性、人格を指す。「了徳寺」は人間としての品性、道を論す館の意味を込めた大学名だ。 聞き手=本誌/榎本正義 、写真/佐々木 伸教育部…

大学の挑戦

創立100周年、西南学院大学・K.J.シャフナー学長「世界に貢献しインパクトを与える人材を育てる」〜国際交流・就職支援・インターネット出願〜 

「“STAND BY YOU”のスローガンの下、学生一人ひとりに寄り添う教育を」――中央学院大学・佐藤英明学長

経済界からのお知らせ

最新号のご案内

経済界2019年2月号
[第44回 経済界大賞]
大賞 北尾吉孝(SBIホールディングス社長)

  • ・[優秀経営者賞]貝沼由久(ミネベアミツミ会長兼社長)、星野晃司(小田急電鉄社長)、分林保弘(日本M&Aセンター会長)、河野貴輝(ティーケーピー社長)
  • ・[地方創生賞]笹原晶博(北海道銀行頭取)
  • ・[ベンチャー経営者賞]松下 剛(MTG社長)
  • ・[グローバルチャレンジ賞]猪塚 武(キリロム工科大学学長)

[Special Interview]

 北尾吉孝(SBIホールディングス社長)

 企業生態系を構築し20年で一大金融グループに

[NEWS REPORT]

◆上場前に大規模システムダウン ソフトバンクの明日はどうなる?

◆ゴーン逮捕から1カ月 起こりうる日産「最悪のシナリオ」

◆LINEとのアライアンスに託す 苦境に立つみずほFGの一手

[特集]せとうち復興

 被災地は観光でよみがえる

ページ上部へ戻る