マネジメント

税務の心得1 所得税での損益通算は限定的

 赤字と黒字を合算し、両者を相殺することを「損益通算」と言います。法人税では原則として損益通算が可能ですが、それは個人の所得税についても同様です。ただし、所得税の場合、すべての所得が損益通算の対象になるわけではありません。10種類の所得区分がありますが、そのうち、「不動産所得」「事業所得」「山林所得」「譲渡所得」で生じた赤字のみ損益通算の対象となるのです。私たちの業界では、「フジサンジョウ」という語呂合わせで覚えていました。

 「フジサンジョウ」の4区分についても、無条件で損益通算が行われるわけではありません。例えば、不動産所得の損失でも、土地等の取得に要した負債の利子は損益通算から除外されます。これはバブル期にできた規制で、この規制により、土地取得に大ブレーキがかかったことを今でも覚えています。また、ゴルフ会員権の売却損も今年3月までは他の所得と損益通算が行えましたが、税制改正に伴う規制により、4月以降はそれができなくなりました。節税にはタイミングも重要なのです。

税務の心得2 分離課税か否かを押さえる

 所得税を考える上では、「税率」と「分離課税か否か」も重要なポイントです。その分かりやすい例が、不動産や株式譲渡で生じる「キャピタル・ゲイン」や「預金所得」にかかる源泉分離の税金です。どちらも他の所得税から区分され、「一律20%」──つまりは、手取りが所得の8割になる課税となります。

 また、外貨預金でも、国内の金融機関で開設する外貨預金と海外で開設する外貨預金では取り扱いが違います。前者は20%の源泉分離課税、後者は総合課税になります。要するに、高所得者の場合、後者は税金的に損な扱いになるということです。

 なお、先に「一律20%」と記しましたが、これは現在の所得税15%と住民税5%の合算値です。平成49年までは復興特別所得税として各年分の基準所得税額の2・1%が別途かかります。さらに、不動産譲渡は1月1日現在の所有期間が5年を超える長期譲渡を前提としています。

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