政治・経済

 「ウチみたいなドメスティックな企業でも、海外展開できる見本にはなっていると思う」

 アウンコンサルティング社長の信太明氏は言う。

【アジアを拠点にインターネット分野のマーケティング】

信太 明

信太 明(しだ・あきら)
1968年生まれ。福島県出身。92年早稲田大学政治経済学部卒業後、リクルート入社。96年ABCマートに入社し、同社退社後の98年アウンコンサルティングを設立。

 同社の主力事業は、SEO(検索エンジン最適化)やリスティング広告といったインターネット分野のマーケティング。現在はバンコクをはじめ、アジア各地に拠点を構えている。

 もともと、海外を視野に入れていたわけではない。日本国内の地域おこしに貢献したいというのが起業の理由だった。当初は自治体向けに街づくりプランの販売、ホームページ制作の仕事などを行っていた。その後SEOを手掛けるようになり、事業が軌道に乗った。2005年には東証マザーズに上場。そこで得た資金でM&Aを進めたが、失敗に終わる。その反省から、自力での事業拡大に方針転換した。とはいえ、国内の展開には限界がある。そこで活路を見いだしたのが海外への進出だった。

 まずは当時、人件費が東京の8分の1、いずれはネット広告の需要が大きく伸びる目安である1人当たりGDP1万5千ドルを超えそうだったバンコクにBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)拠点を設立。同時期に韓国、台湾、香港、シンガポールにもセールス拠点を構えた。進出当時は円高だったため、数年後に各拠点が黒字転換した際は利益がかさ上げされた。進出のタイミングとしては最高だったと信太氏は振り返る。

 自社の強みについて信太氏は「競合は日系企業相手のビジネスが大半だが、われわれのお客さまはローカル企業が7〜9割。最初から現地企業を相手にしてきたので、ノウハウがある」と語る。海外進出当時は信太氏自ら営業に出掛け、2年間で約800社を回った。その中で、商品や価格についてのノウハウを蓄積していった。

【海外進出を検討中の企業と支援する企業をつなぐサービスを開始】

14年からは海外進出を検討中の企業と、それらを支援する企業をつなぐ「The Oceans」も開始。同サービスのウェブサイトでは約110の項目を用意し、海外進出支援企業が検索できる。日系企業との関係を深め、将来的に販売促進の案件獲得を目指しているという。

 以前に比べると、中小、ベンチャーでも海外進出が容易になった。ただし、信太氏はこう釘を刺すことも忘れない。

 「海外進出にはリスクは当然あるし、死ぬ気でやらないと大変なことになる。安易な考えでは失敗するでしょう」

(写真=森モーリー鷹博)

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