政治・経済

 安倍晋三首相が11月18日夜、10%への消費税率の引き上げを、2017年4月まで1年半延期すると表明した。15年10月の予定通りの再増税を目指し、国会議員などにも根回しを進めていた財務省の〝完敗〟となった。

 「タイミングのいかんにかかわらず、消費税の増税は避けて通れない」。麻生太郎財務相は11月18日午前の閣議後会見でこう述べた。安倍政権の閣僚の1人として、増税の先送りを容認せざるを得なかった格好だ。

 安倍首相が増税延期を決断したのは、7〜9月期の実質国内総生産(GDP)が2四半期連続でマイナス成長となったことが大きい。「景気が腰折れし、税収が下がっては元も子もない」(安倍首相)との判断が働いた。

 財務官僚は、官邸や自民党の若手議員などへ根回しし、再増税の機運を作りだそうと奔走していた。財務省OBの黒田東彦総裁が率いる日銀が、10月31日に金融緩和を決めたのも、「再増税のための環境づくりだったのでは」との見方が、根強くささやかれている。財務官僚は、「再増税への機運は高まりつつある」と、安堵し始めていたようだ。

 しかし、安倍首相が決めたのは、再増税の延期だった。民間では、今年4月の消費増税後の消費意欲の回復がはかばかしくなく、大手スーパーなどの業績はさえない。「再増税は延期すべきだ」との声が、流通業界のトップからも公然と出ていた。今回、延期が決断されたことで、「とりあえず良かった」(メーカー首脳)と、安堵の声が上がっている。

 一方、財政再建の進捗が後退したと、世界から見られるのは避けられそうにない。延期発表と同じ日、早くも米大手格付け会社のフィッチ・レーティングスが、日本国債の格付けを見直すことを発表している。

 財務省の救いは、安倍首相が「増税の再延期はしない」と明言したこと。10%を超す税率への引き上げも視野に、財務官僚の暗躍が始まるとの見方も上がっている。

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