文化・ライフ

 2007年に女子大生プロゴルファーとしてデビューした原江里菜さん。10月末に開催された樋口久子森永レディスでは3位に輝くなど、次代を担う女子プロゴルフ界の1人として注目されています。ゴルフの魅力やプロゴルファーとしての心構えについて、お聞きしました。

原江里菜氏のゴルフの原点 10歳でクラブを握り 毎日500球打つ生活

佐藤 10歳の時にゴルフを始めたそうですが、そのきっかけは?

 父に「(坂田信弘さんが主宰する)坂田ジュニアゴルフ塾に入らないか」と勧められたことがきっかけです。入塾テストに合格できないだろうと、軽い気持ちで受験したのですが、入塾することになりました。その当時、10歳にしては身長も高く、父としては何かスポーツをさせたかったのだと思います。

原 江里菜

原 江里菜(はら・えりな)
1987年愛知県豊田市生まれ。10歳からゴルフを始め、東北高校1年時の2003年から4年連続で女子ナショナルチームメンバー入りし、05年に日本ジュニアで初優勝。06年に東北福祉大に進学。同年、LPGAのクオリファイを通過し、07年より女子大生プロゴルファーとしてデビュー。08年NEC軽井沢72ゴルフトーナメントで初優勝。今季は11月18日現在、30試合予選落ちなしで、賞金ランキング9位。

佐藤 最近ゴルフの練習場でも子どもの姿を見掛けます。親がスパルタ指導をしていると、子どもたちがゴルフを嫌ってしまったらどうするのだろうと思うようなこともあります。

 私の場合は両親から厳しく指導を受けた経験はありませんでしたが、坂田塾は厳しくて、毎日欠かさず練習しなければいけない、毎日必ず500球打つというノルマがあり、打てない時は打てない理由をコーチに説明して帰らなければいけないというルールがありました。その時の経験が、プロになった今も、練習の大切さを忘れずに取り組める要因となっていると思います。良い意味でも悪い意味でも、小さい時に教えられたことは、体に残っています。初ラウンドは入塾から3カ月後。坂田塾に通う子どもたちとハーフをパターだけで回り、76でした。

佐藤 76! 初めてのラウンドは難しいですものね。

 その頃は毎日練習していましたから。その数回後に回ったラウンドではバンカーから抜け出せなくなり、50回打ち続けたことがあります。泣きながらクラブを振り続けていたことを今でも鮮明に思い出せます。

佐藤 私も趣味でゴルフをしますが、バンカーショットを数回失敗しただけでもショックで頭が真っ白になります。それを10歳で経験するとは……。プロゴルファーに求められる忍耐力が、当時の原さんには既に備わっていたのですね。

原江里菜氏が語るゴルフの魅力 努力が数字に出るからストイックでいられる

佐藤 ゴルフは、同じコースでもちょっとしたセッティングの違いで全然違うコースのように感じることもあります。それが醍醐味でもあると思うのですが、原さんはゴルフの醍醐味をどのようにお考えですか。

 例えばフィギュアスケートのような採点で競うも競技もありますが、それらは見る人の感性が影響すると思います。でも、ゴルフは自分の努力が数字に出て、そのまま評価されるから、やりがいがあります。言い訳できないですし、「もっとこういうプレーをしたい」とストイックに考えられる要因だと思います。

佐藤 確かに、数字ではっきりと結果が見えることはゴルフの良さです。それと、ゴルフは1人ではできないことも魅力ですね。

 ほかのスポーツと決定的に違うところは、技術のレベルや年齢、性別が違っても一緒にプレーできることで、これも魅力です。

左から原 江里菜、佐藤有美佐藤 ゴルフが初心者でも気兼ねなく同じフィールドで楽しむことができますからね。

 私たちはプロとしてお金を稼がせてもらっていますが、経営者さんなど、普段自分たちが出会えない人たちと、一緒にゴルフができる機会を得られることはとても幸せなことだと思います。そういう気持ちを絶対に忘れないでいたいです。

佐藤 一緒にラウンドした経営者がその言葉を聞いたら、みんな大喜びしますよ!

原江里菜氏の思い 見られていることを意識してラウンドする

原 江里菜

佐藤 今までのゴルフ生活で、印象に残っている出来事はありますか?

 東北高校に入学してからは毎日がゴルフ漬けの生活で、いろんな影響を受けたと思います。私が高校1年の時は2学年上に宮里藍さんがいて、その活躍から刺激を受けましたし、ライバルである有村智恵ちゃんと出会ったのも高校でした。智恵ちゃんとは今ではプライベートで一緒に食事に行くような関係になりましたけど、当時は仲が悪くて口もききませんでした(笑)。

佐藤 それは互いに相当な火花を散らしていたのでしょうね(笑)。宮里さんや有村さんの名前が登場しましたが、最近の女子プロは華があり、プレーヤーの表情やファッションなども注目されます。

 私自身、周りからどのように見られているのか気にしなかったのですが、ある大会で優勝争いをしていた時、クラブ契約を結んでいる横浜ゴム(プロギア)の南雲忠信会長から「硬い表情してラウンドするな」と言われたことがあるんです。結果を出すことはうれしいし、せっかく良いプレーをしているのだから、その気持ちを表現してほしいということを伝えられ、私も「〝結果が出ればすべて良し〟ではない」ということを実感しました。それからはカメラ映りも意識するようになりましたね。ファッションにもこだわれる良い時代にプロとして活動でき、幸せに思っています。

「結果もパフォーマンスも目立つプレーヤー」にと語る原江里菜氏

佐藤 27歳になられたばかりでゴルファーとしてこれからますます楽しみになりますね。

 シード権がなかった時があるせいか、同じ年代の選手より、この先にやりたいことが多いと思います。早くに結果を出していたら今頃は燃え尽きていたはずですし、結果の価値も理解できなかった。今の自分なら結果を残すことに意味を感じるので、若い選手が増えていく中でも、私の向上心は揺るぎませんね。

対談の様子佐藤 後輩から押し上げられる感覚があるのですか。

 緊張感がなければ、一気に落ちこぼれていくと思います。ファンの方の反応は正直で、若い選手にどんどん移っていくし、その中で自分を認めてもらうためには、やっぱり、腕一本だという意識は強くなりました。

佐藤 今後の目標は?

 来年は複数回優勝したいですね。結果もパフォーマンスも、目立つようなプレーヤーになりたいと思います。

佐藤 若い選手に負けていられませんね。

 私は今まで先輩方に可愛がっていただきましたので、私も後輩たちにただ勝つのではなく、「この先輩だったら優勝してほしい」と思われるような存在になりたいですね。


対談を終えて

対談を終えて笑顔がチャーミングな原さん。受け答えのどれをとっても明るく、細やかな気配りにあふれていて、先輩ゴルファーやプロアマ大会で一緒に回った人を魅了してしまうのもよく分かります。来年は複数回の優勝が目標とのことなので、活躍が今から楽しみです。

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