政治・経済

 11月17日、東レはボーイングの「777X」向けに炭素繊維複合材料を供給すると発表した。「787」向けの納入契約延長も決まり、受注総額は1兆円を超える見込み。両社は今後、航空機部材の共同開発を進める予定で、炭素繊維シェア1位の東レがさらなる飛躍を遂げようとしている。

ボーイング受注額が1兆円超の見込み

 「777X」は、米ボーイングが現行「777」の後継機として2020年に初号機を納入する計画で開発を進めている大型双発旅客機で、主翼材料に東レの炭素繊維複合材が採用された。

 一方の「787」は、主翼、胴体などの一次構造部材に炭素繊維複合材が採用されており、東レはボーイングと包括供給契約を05年11月に締結して独占的に納入してきた。今後の生産機数が現行の月産10機から19年末までに同14機まで引き上げられる予定もあり、供給契約期間が切れるのを前に、10年以上延長することを前提として交渉する覚書を締結した。

覚書を締結し、握手する日覺昭廣社長(中央左)とジョン・トレーシー最高技術責任者(中央右)

覚書を締結し、握手する日覺昭廣社長(中央左)とジョン・トレーシー最高技術責任者(中央右)

 こうした増産計画を受けて、東レは今年2月に米サウスカロライナ州に取得した事業用地(総敷地面積約160万平方メートル)で、原糸から炭素繊維、複合材料まで一貫生産できる設備新設を計画。20年までに1千億円を投じて安定的かつ効率的な材料供給体制を作る方針だ。

 「この合意に至ったのは、当社が1970年代から長年にわたって優れた品質の炭素繊維材料を安定的に供給してきたことで揺るぎない信頼関係を培ってきたことに加え、世界最高水準の技術開発力と、航空機での複合材料提供拡大に向けた、当社のコミットメントが評価されたから」

 日覺昭廣社長は覚書締結に至った理由をこう述べた。その言葉通り東レは一朝一夕でこの上昇気流を掴んだわけではない。鉄に比べ4分の1の軽さながら、10倍以上の強度を持つ炭素繊維は、世界需要が年率15%以上の成長を見せている。しかし、ここに漕ぎ着けるには、粘り強い研究開発の努力が必要だった。

 東レの炭素繊複合材料事業は71年から始まり、赤字を出しながらも技術開発を進め、事業を継続してきた。一方、欧米でも事業参入した企業はあったが、短期で成果が上がらず撤退や縮小を余儀なくされた。今では再参入する企業も増えてきているが、東レ、帝人系の東邦レーヨン、三菱レイヨンの日系3社が市場で先頭を走る。

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