政治・経済

 来年1月からのNISA(少額投資非課税制度)のスタートに向け、金融庁が打ち出した2014年度税制改正要望が8月30日、明らかになった。NISA専用の口座を開設したら5年間変更できないとしている現在の仕組みから、1年ごとに口座を開く金融機関を変更することを容認することが柱だ。

 ただ、当初要望が予定されていた複数口座の容認や業界側が強く求めている制度の恒久化、対象となる金融商品を株式や株式投資信託に加え、国債などの公社債や公社債投信を対象に加えることは盛り込まれず、引き続き議論することになった。NISAの導入は13年度税制改正で盛り込まれ、今年末で終わる証券優遇税制に代わるものだ。証券業界には優遇税制の延長を求める声が根強かったが、度々延長されてきた優遇税制を打ち切り、少額の投資を優遇することで、貯蓄から投資への流れをつくるものとして期待されている。14年からの10年間の時限的措置だが、金融庁は20年までにNISAの残高を25兆円とする目標を掲げている。証券各社や銀行はアベノミクスで回復した株式市場で、新規口座開設の手数料優遇キャンペーンなどを行い個人投資家の獲得に熱を上げている。

 ただ、貯蓄から投資への呼びかけは証券優遇税制を導入した03~04年ごろから言われているが、実際のところほとんど進んでいないというのが現状だろう。もちろんリーマンショックや欧州債務危機、東日本大震災など株式市場に冷や水を浴びせる出来事はあったにせよ、投資はリスクが高いという意識は日本では根強い。

 制度の使い勝手については、「まだ不十分」という声が業界内にはくすぶっている。投資を促進することは、最終的にはリスクマネーの供給にもつながり、政府の目指す企業の新陳代謝を促す。使い勝手のよい制度づくりを進められるのか。過熱気味の顧客獲得競争で問題が起きる可能性も懸念される。利用者や民間目線に立った行政が金融庁に求められることになりそうだ。

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