政治・経済

 全国農業協同組合中央会(JA全中)が11月6日まとめた自己改革案は、現状通り農協法上にJA全中を位置付ける方針を示したことで、農協の抜本改革を成長戦略の1つと位置付ける安倍晋三政権との対立が鮮明となった。農協法で守られた既得権益の死守に必死のJA全中だが、農家数の激減の影響も受け、政治力は著しく低下。政府をねじ伏せるだけの理論武装はなく、内心は戦々恐々としているようだ。

 同日の記者会見でJA全中の萬歳章会長は、JA全中が農協法上に位置付けられるべき理由を問われると、「監査機能、代表機能、総合調整は農協法に位置付けられることがわれわれの役割を果たすことの位置付けだ」などと、納得のいかない答弁に終始。記者から「一般の人に分かりやすくお願いします」と促される一幕もあった。

 結局、冨士重夫専務理事が「JA全中の監査のほうがコストも掛からず、外部に監査を依頼するより効率的」とフォロー。「会員への強制的な権限を全部廃止しており6月の政府、与党のとりまとめの趣旨に沿っている」と説明し、言葉足らずの萬歳会長の回答に冨士専務理事が補足するやりとりが繰り返された。ある政府高官は「JA側の理論武装の不十分さを証明した会見だった」と皮肉る。

 農協法で各地域農協を束ねて指導・監査できる権限を認められているのがJA全中だ。しかし与党は、JA全中が監査と経営指導を通じて肥料や機材の仕入れや販売など細かい点にも注文をつけることなどが、各農協の自由な運営を損なっていると問題視。そうした規制を取り払い、各農協の創意工夫を引き出すことが今回の農協改革の狙いとしている。

 政府・与党は9月の内閣改造で、農林水産大臣に改革派の西川公也氏、農協改革の検討プロジェクトチームの座長に菅義偉官房長官と近い吉川貴盛前農水副大臣を起用。さらに、農林水産戦略調査会長には林芳正前農水相を充て、「これでもか」と言わんばかりに農協改革断行の姿勢を打ち出している。

 11月7日にJA全中の自己改革案を受け取った西川氏は「政府の考え方とずれがある」と早々に不満をぶちまけた。

 改革案の最終決定権は政府が握るだけに、農協政府主導の改革断行は避けられそうになさそうだ。

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