マネジメント

 現在、銀行間では融資競争が繰り広げられており、融資金利もかなり下がっています。ただしそれは銀行が融資したい企業に限った話。それ以外の企業については、逆に、金利引き上げを要求されるケースが珍しくありません。

 このような銀行の要求には実は矛盾も多く、しっかりとした理論武装の下で交渉に臨めば、要求を突っぱねることが可能です。そこで今回は、銀行側がよく使う「金利引き上げの口実」を基に、対処法を解説します。

金利引き上げの口実1 貸倒引当金を積み増す必要がありまして……

 融資先の倒産リスクが高い場合、銀行としては、「貸倒引当金」を多く積まなければなりません。例えば、融資が無担保(信用保証協会の保証も担保もない融資)で、かつ債務者の区分が「破綻懸念先」の場合、融資額の50〜80%──つまり、1億円の融資であれば5千万円〜8千万円の貸倒引当金を積む必要に迫られます。

 これは銀行にとってのコストであり、融資先の債務者区分・信用格付が悪化すれば、当然、そのコストは膨らみます。そうした負担増を少しでも緩和しようと、銀行は金利の引き上げを要求してくるわけです。

 ただし、それはあくまでも銀行側の都合です。銀行から新たな融資を受けるならまだしも、既存融資の金利は既に決定済みのもの。いったん決めた金利に責任を持つのは銀行であり、それで銀行サイドの負担増が起きているとしても、既存融資の金利引き上げに、企業が応じる必要はないのです。

 また、そもそも会社の債務者区分や信用格付が「以前から悪い」場合、貸倒引当金に変化はないはずです。したがって、その「積み増し」を金利引き上げの理由にはできないはずです。

金利引き上げの口実2 御社の会社規模が小さいので……

 「会社の規模が小さく、融資リスクが高い」といった理由から、既存融資の金利を引き上げようとする銀行も少なくありません。ただし、会社の規模は融資を実行する時点で分かっていたはずですし、規模を理由に融資リスクが高いとするなら融資自体もなかったはずです。ですから、「規模の小ささとそのリスク」を根拠に既存融資の金利引き上げを要求された際には、「ならば、なぜ融資をしたのか」、「なぜ、この利率になったのか」と問い質すべきです。

 銀行の融資審査では、企業の返済能力や担保による融資の保全状況のチェックが重視され、金利をどうするかの判断は二の次となります。ただし、そんなことは銀行の内部事情で、審査を通して金利を確定させ、融資を実行した以上、利率に責任を持つのが当然です。にもかかわらず、後から金利を引き上げようとする姿勢には、やはり問題があると言えるのです。

金利引き上げの口実3 融資額が小さいために……

 銀行における融資審査・融資管理の手間とコストは、融資額の大小によってそう大きく変わるものではありません。そのため、融資の金額が小さくなればなるほど、銀行側のコストは相対的に大きくなります。

 とはいえ、その辺りのコストは、融資審査時にしっかりと算定され、金利にも反映されているはずです。それを後の金利引き上げの口実にするのにも無理があるのです。

金利引き上げの口実4 融資の採算性が悪いので……

 「融資の採算性」を理由にした(既存融資の)金利引き上げも銀行側の都合によるものです。この場合も、要求に応じる必要はありません。

 また、特定の銀行から融資を受ける一方で、預金も預けているのなら、「融資額から預金額を差し引いた額」が実質的な融資額です。

 この実質額で融資利息を算定し直すと、現在銀行に支払っている利息よりも大抵小さくなります。

 また、融資・預金取引以外にも、振込手数料や手形取立手数料などの手数料を多く支払っている場合もあります。ですから、銀行が「融資の採算性」を金利の引き上げの理由にするようなら、そもそもの利息の正当性や、取引全体の有益性について追及してみるのもいいかもしれません。

金利引き上げの口実5 御社は将来性に乏しく……

 たとえ、会社が「将来性に乏しい」としても、銀行の融資を受けているのなら、それは、銀行が「返済能力アリ」と判断したためです。また、元の金利にも貸し倒れのリスクが織り込まれているはずで、将来性の乏しさを、金利アップの理由にすることは合理性に欠けていると言えるのです。

 以上のように、銀行はさまざまな理由を付けて、金利引き上げを要求してきます。

 その際には、上述した内容を参考にしながら理論武装をし、言い方は丁寧でも、きっぱりとした口調で銀行との交渉を進めてください。

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