政治・経済

 グローバル化の進展によって、日本のモノづくり現場は、一方で新興国の安価な労働力、他方で欧州などの高付加価値なモノづくりとの競争に直面している。また、程度の差こそあれ、多くの分野で水平分業化が起き、産業のバリューチェーン上の位置付けを誤ると、一生懸命モノづくりに励んでも、正当な対価を得られない場合も増えている。日本で蓄積された経験を生かす難度の高いモノづくりで何とか活路を見いだす方法も、新興国勢の追い上げによって生き残れる隙間が先細る。

 加えて、国内の労働環境をマクロに見れば、リーマンショック後の5年前は、求職者1人に対して、0・45件の求人しかなかったが、求人は年々拡大し、今年に入ってからは、求人件数が求職者を上回る状況が続いている。少子高齢化による生産労働人口の先行現象を背景に、国内の人手不足は恒常化しそうだ。デフレ経済下における「従業員を路頭に迷わすわけにはいかない」という懸念は杞憂になりつつあるが、国内の生産拠点は、人件費の上昇と円安による原材料費や光熱費高騰といった新たな脅威にさらされている。

 こうした状況は、経営の次元において従来の延長線上、デフレモードのコストを必死に下げ、ひたすら耐えるスタイルの戦略モデルでは生き残れないことを示唆している。ではどうするか?

 まずは世界の中での自分の姿(マクロな自分)と、自分自身のコア中のコア競争力(ミクロな自分)を冷徹に見極めることである。自分たちは世界のモノづくり企業のどこに位置するのか、そこで本当に持続的に通用する自分たちの強み、すなわち「稼ぐ力」の源泉は何なのか、全力を尽くして情報を集め、徹底的に突き詰めることからスタートだ。

 いわゆる5重苦、6重苦の時代を生き抜いてきた日本のモノづくり現場のほとんどは、何がしか世界において「天下無双・唯一無二」のものを持っている。次はその天下無双の特徴を「金」にすべく、ビジネスモデル、戦略モデルを研ぎ澄ますこと。裏返して言えば、そこにあてはまらないものは、顧客であろうと、製品であろうと、技術であろうと、機能であろうと思い切って捨てることだ。

 逆に特徴を「金」にする上で足りない機能、例えば自らの真の価値を「正当な価格」で世界の顧客に売り込む機能がないなら、人材スカウトやM&Aを含め、あらゆる手立てを尽くして補わねばならない。私自身、思い切り研ぎ澄まされた戦略展開で、「隠れた世界チャンピオン」にのし上がった中小のモノづくり企業を何社も知っている。もともと現場力は世界一。ニッポンのモノづくり企業の潜在力は高いのである。

 こうした努力は言うまでもなく経営者自身の責任であり、その必要性は、今や企業規模の大小に関係ない。現代のグローバル大競争下のモノづくり企業には、栄光か死以外に道はないのだ。栄光への命懸けの挑戦に乗り出すか、そうでなければ身売りあるいは廃業を決断するか。いずれにせよ経営者の真の意味での覚悟が問われている時代である。

 

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