マネジメント

人材育成の着眼点 整理できない感情は行動に直結する

 小さい子ども、特に男の子の場合は、感情、とりわけネガティブな方向の感情を言葉にすることが苦手で、今、自分に込み上げている感情がなんなのか、自分でうまく説明できません。例えばわんわん泣いていても、自分は悔しいから、もしくは悲しいから泣いている、というふうに、感情の整理ができないのです。つまり、なんだかよく分からないけど涙が出てしまうという状態で、それゆえに、感情が行動に直結してしまうわけです。おもちゃを取りあげた友だちをいきなり叩いてしまうのも、感情が行動に直結した典型的な例だと言えるでしょう。

 そういう子どもに対しては、まわりの大人が「悔しいんだね」とか「悲しかったんだね」とその感情を受け止め、それを言葉にして代弁してやることが大切で、それを繰り返していくうちに、今、自分に湧き上がっている感情が何なのかを自覚し、整理できるようになります。そして、次第にそれを理性でコントロールする術も覚えていくのです。

人材育成のコツ① 感情の幼児性を正すポイントは共感と厳しさ

 ところが、幼いときに、感情を受け止めてもらう経験が極端に少なかったり、逆に過剰に構われ過ぎて、感情を整理する術を学ばぬまま、年齢を重ねてしまう人は実はたくさんいます。そして、そういう大人は、常に感情的に動いてしまいます。つまり、突然激昂したり、逆に小さな失敗にいつまでもくよくよしたりするのは、感情面での幼児性が残っている状態なのです。

 そういう人たちを指導するコツは、基本的には子どもと同じで、一言で言えば「共感しつつ、構い過ぎない」こと。つまり、例えば、傍目から分かるほど失敗に落ち込んでいる場合には、「できるはずのことができなくて悔しかったのか?」というふうに、その落ち込みが「悔しさ」によるものだということを代弁して投げ掛けてやるのです。そうやって感情を整理させたあとに、じゃあ、その悔しさを繰り返さないために、次に何をすべきかという前向きなアドバイスを与えます。

 大事なのは、その後、必要以上に構い過ぎないこと。いつまでもまわりの人が自分の感情につきあってくれるという甘えは許すべきではありません。それは社会人としてのルールに反する、ということをしっかり教えなくては、まわりはいつまでも、その人の感情に振り回されることになってしまいます。子どもの場合も、しつこくいつまでも泣いていたら、最初は慰めていた親も「いい加減にしなさい!」と叱りますよね。相手が大人であっても、人を育てるためには、時には断固とした姿勢が必要なのです

人材育成のコツ② 気分が「落ちたまま」は自己肯定力不足?

 最近の若い人は、気分が落ち込んだことを、「落ちた」などと表現し、自分のネガティブな心理状態も抵抗なく口にするようです。

 その状態と客観的に向き合って、「落ちた」としてもそれなりに仕事に取り組める人は、感情を理性でコントロールできているので問題ありませんが、なかには、いったん「落ちる」と何も手につかない状態になってしまう人がいます。さまざまな感情を持ったり、気分の浮き沈みがあるのは、人間として当然だとはいえ、仕事ぶりが感情に直接左右されてしまうのは、社会人として未熟だと言わざるを得ません。

 実は、「落ちた」といって、仕事を投げ出してしまう人の話をよくよく聞いてみると、ものごとをゼロか100かで判断してしまう傾向があるようです。

 例えば、全体の2割がうまく運ばないだけで、「すべてがうまくいかない」というふうにとらえたり、仕事の一部分を注意されただけで、自分のやり方をすべて否定されたかのように受け取ったり、そういう極端なとらえ方が、コントロールできない感情を生む原因になっていることが多々あります。

 そういう人に対しては、ものごとのとらえかたから指導しなくてはいけません。つまり、8割はうまくいっていることを再確認させたり、「あなたのこういう部分は評価されている」という姿勢を示すことが大切なのです。失敗とともに、達成度も認める健全な自己肯定力を身に付けてておかなければ、あらゆる面で打たれ弱さを露呈していくことになります。

 自己肯定ができるようになれば、指摘された課題にも冷静に対応できるようになります。感情に振り回されることもなくなり、社会人としても成熟していくはずです。

 「落ちる」若手には、自己肯定力の育成を

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