
「21日解散、首相表明 消費増税先送り〝信を問う〟アベノミクスも争点」
安倍晋三首相は18日夜、首相官邸で記者会見し、来年10月に予定されている消費税率10%への引き上げを1年半先送りし、21日に衆院解散に踏み切る意向を表明した。衆院選は12月2日公示、14日投開票の日程となる。首相は争点として、増税先送り判断の是非と自らの経済政策アベノミクスへの評価をあげた。
首相は「税制こそ議会制民主主義と言っても良い。その税制において大きな変更を行う以上、国民に信を問うべきであると考えた」と述べた。消費増税法には、景気が想定以上に悪くなれば増税を先送りしたり、とりやめたりできる「景気条項」がある。首相はこの条項に基づいて先送りを決めたとし、「7〜9月のGDP(国内総生産)速報によれば、個人消費は1年前に比べ2%以上減少した。来年10月から引き上げることは個人消費を再び押し下げ、デフレ脱却も危うくなると判断した」と述べ、「再び延期することはない。そう断言する」と強調した。
(朝日新聞2014年11月19日)
アベノミクスが政治的求心力を高める可能性
安倍政権が消費税率引き上げ見送りの是非を国民に問うために、衆議院の解散総選挙に打って出た。既に観測を織り込んで、株高・円安という反応が出ていたことからすれば、市場では消費税率引き上げ見送りについて今のところ前向きな評価をしていると言えよう。長期的に見ても、これをきっかけに今後の政権基盤が強化され、政策遂行が加速すれば、円安、株高、金利上昇要因となるとみられている。
ただ、7〜9月期の経済成長率がマイナスになったことによって、そもそもアベノミクスの是非が問われることになったことには注意が必要だろう。
確かに日本経済はアベノミクスによって、経済のパイの拡大という側面ではデフレに陥った以降の日本経済において、最高のパフォーマンスを示していることに疑いはない。この2年間で株価は2倍、雇用者数も100万人以上増加、20年ぶりの賃金上昇率などによって、家計の金融資産は130兆円以上増加している。しかし、一方で経済の好循環が道半ばでの3%にも及ぶ消費税率の引き上げ等もあり、実質賃金は15カ月連続マイナス。購買力平価を上回る円安は、上場企業の業績や国の税収には大きくプラスに働いているものの、中小企業や家計には負担増を強いている側面もある。
しかし、景気後退局面は、少なくとも2014年中に回復局面に転じることが期待される。8月まで調整が続いた鉱工業生産も、予測指数に基づけば9月から反転の兆しが見えている。また、4〜6月期まで低下傾向にあった輸出数量も7〜9月期に上昇に転じている。
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