政治・経済

 2014年の半導体業界を振り返ると、世界市場では堅調な成長が続いている。微細化の限界や成熟化が懸念される一方で、いまだ成長産業であり続けている。ただし、それは世界での話で、日本がその成長を享受できるとは言い切れない状況にある。

日本の半導体メーカーは浮上できず

 2014年が終わりを迎えるタイミングで、半導体業界では市場調査会社による市場予測の発表が相次いでいる。これらを見る限り、総じて14年はプラス成長となる見込みだ。

セミコン・ジャパン2014の会場風景

セミコン・ジャパン2014の会場風景

 まず半導体デバイスについて、米市場調査機関「WSTS」が発表した予測によると、14年の半導体の世界市場は前年比9%増の3332億ドルで、前年に引き続き過去最高を更新する見込み。また、半導体を製造する装置市場や材料市場についても、業界団体SEMIが発表した市場予測によると、14年の製造装置販売額は前年比19・3%増の380億ドルに達し、15年も同15・2%増と堅調な成長が期待されている。半導体材料市場も14年は同2・7%増の446億ドル、15年も同4%増の466億ドルと堅調な伸びが期待されている。

 この好調な市場の恩恵を日本の半導体業界が享受できているかと言うと、必ずしもそうではない。米調査会社IC Insightsが発表した14年の半導体メーカー売り上げランキング予測では、上位5社は米インテル、韓国サムスン電子、台湾TSMC、米クアルコム、米マイクロンで不変。日本メーカーでトップ20に入っているのは8位の東芝と11位のルネサス エレクトロニクス、16位のソニーの3社のみ。ソニーは売り上げが前年比増で順位を1つ上げたが、東芝とルネサスは売り上げ減となっており、概して言えば、日本メーカーは世界の成長から取り残されつつある。

 今後期待される半導体のアプリケーションのトレンドの1つに「IoT」がある。ここでも日本メーカーがこの潮流を掴めるかは微妙な状況だ。IoTとは「物のインターネット」を意味し、電子機器同士が人を介さずにネットワークでつながり、さまざまな付加価値を生むもので、半導体の新たなアプリケーションとして期待が高い。

 IoTの具体的なデバイスは、センサやアナログIC、パワー半導体などである。これらの製造には、最先端ではなく一昔前の枯れた技術で対応できる。また、製造に使用する半導体基板も、先端製品の量産で主流の12インチの大口径ウェハーではなく、一世代前の8インチウェハーが主に使用される。

 日本の業界関係者が期待する理由もここにある。現在、世界で8インチウェハーの製造能力が最も高いのは日本だという。また、8インチウェハーは他のデバイスの製造への転用が容易で、IoT向けのさまざまなデバイスの製造に適用できる。それだけIoTに有利な条件が日本には揃っているとし、成長を期待する関係者の鼻息も荒い。

 しかし、日本の8インチウェハーの製造能力が高いのは、結果的に世界の最先端の主流から取り残された結果だ。ロジックICと呼ばれる半導体の競争にルネサスや富士通などが敗れ、12インチ工場を整理・売却していったからでもある。残った8インチ工場も整理・統合の対象にあり、今後も現在の規模の生産能力が維持できるとは限らない。IoTは新市場という意味ではチャンスだが、日本メーカーに有利と考えるのは早計だろう。

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