テクノロジー

 ICTを、生活や産業を支える重要インフラであるという視点で見ると、ICTの持つハードとしての速度、容量やソフトとしての使いやすさの要素のほかに、つなぐというネットワークとしての可能性を再認識することが重要だ。

 ネットワークインフラが、他のインフラと異なるところは、国を超えてつながっていることだ。このことが、ネットワークが他のインフラと異なる可能性と課題を生み出すことになる。

 世界とのつながりを考える上で大切な要素は、コミュニケーション手段とそのコミュニケーションの基になる発想力だ。コミュニケーションの手段という視点だけで考えると、意見交換や意思の疎通を行いやすくするためには、その道具である言語は共通のほうが望ましい。今、日本で英語教育の見直しが行われているのもこの観点による。

 ネットワークの発達は、多様な考え方を知ると同時に、ものの見方を同一化するという相矛盾する結果をもたらすものだ。多様性を維持するには、常に異なる価値観や多様な視点による発想が重要だ。その論理を生み出す言語の多様性は大切にしなければならない。どのような言葉で考えるかで、論理の組み立てが変わってくるからだ。日本語の大切さがここにある。

 言語の多様性を守りながら、コミュニケーションのレベルを上げていくためには、国際ネットワーク時代にふさわしい、より高度な翻訳システムが必要になってくる。複数の言語を多くの人が使いこなすのは、語学教育だけでは限界がある。日本人以外の世界の人が英語を話すわけではないので、英語だけがうまくなれば世界と会話ができるわけではない。英語に限らず、フランス語、スペイン語、ロシア語、中国語、韓国語など対応すべき言語は多く存在することをもう一度確認すべきだ。

 ネットワークは世界とつながっている。このネットワークの世界を言語の壁を越えて自由に行き来できれば、新たな可能性が生まれる。世界の人との対話を行うためには、各国の情報システムに日本語でのアプローチと同時に逆方向のアプローチを高度なレベルで可能にすることが重要だ。

 このことにより、日本語の文化、発想力を維持したまま、世界的に情報の受発信ができる。また、このようなシステムは他の国の人にも同様の可能性を提供できる。こんな世界貢献の仕方があってもよいかもしれない。

 
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