国際

中間選挙で不信任を突き付けられたオバマ政権

 

 2014年11月4日に行われた米国の中間選挙では、野党共和党が上下両院で議席を上積みし、下院に加え上院でも過半数を獲得した。これにより、オバマ政権が共和党主導の議会と対峙する構図となった。

 共和党勝利の背景としては、(1)移民制度改革、銃規制などが停滞し、オバマ政権が実績をほとんど上げられなかった、(2)クリミア編入というロシアの動きを阻止できず、イスラム国への遅い対応、13年にシリア空爆をいったん示唆するも実施しなかったこと等、消極外交に徹したことが挙げられる。

 加えて、リーダーシップ欠如によるオバマ大統領の不人気が響き(同大統領支持率は選挙直前まで40%前後と低水準で推移)、オバマ政権への不信任が突き付けられた形となった。オバマ大統領は、残り2年間の任期中に政治停滞と消極外交を果たして打開できるだろうか。

2014年11月4日 米中間選挙結果 ※選挙結果は2014年12月8日時点 (出所:CNNをもとに三井物産戦略研究所作成)

 オバマ大統領は、中間選挙で敗北したが、拙劣な議会運営の修正を図る姿勢はみられない。選挙直後に、法律制定ではなく与野党間の調整の不要な大統領令という強引な形で、移民制度改革(不法移民に一時的に強制送還を免除し、労働許可を与える)を進めようとしていることが証左だ。

 他方、共和党は、16年大統領選挙を念頭に、重要法案の提出を通じ、政権担当能力を強調してこよう。共和党が上院で過半数を獲得したもののフィリバスター(議事進行妨害)阻止に必要な60議席獲得に達しなかったことも民主党と妥協可能な法案提出を促すだろう。ねじれ議会の下で長期化していた政治停滞が部分的にせよ打開される可能性が出てきた。

 特に、共和党は大統領に強力な貿易交渉権限を与えるTPA(大統領貿易促進権限)法案を同党主導で前進させTPP交渉妥結を後押しする姿勢を示すだろう。また、15年3月15日に期限を迎える連邦債務上限の引き上げ問題では、共和党が13年秋に引き起こしたような政府機関閉鎖(シャットダウン)により同党支持率を急落させたことを踏まえ、大きな混乱を回避するだろう。

 

中間選挙後、米国の消極的な外交は一部見直しへ

 

 共和党はこれまでオバマ外交の一貫性の欠如を批判してきたが、今後ますます攻勢を強めるとみられる。とりわけ、対外強硬姿勢で知られるジョン・マケインおよびボブ・コーカー両共和党上院議員がそれぞれ、軍事委員長および外交委員長に就任するとされており、オバマ政権に対し国防費増大や強硬姿勢への転換を求めてきそうだ。オバマ大統領は、こうした共和党の弱腰批判を打ち消すため、消極外交を部分的ながら転換するものと思われる。

 米ロ関係では、オバマ政権は対ロ制裁の強化を進め(技術供与等の禁止措置の拡大が見込まれる)、これにより、米ロ関係は冷却化するだろう。ロシアがルーブル安、原油価格下落、経済停滞を背景に欧米との緊張緩和を模索する動きを若干ながら示唆するとの見方がここにきて出ているが、野党共和党の反発が予想されるため、米国が制裁緩和に応じる可能性は想定しにくい。

 他方、欧州はロシアとの緊張打開を模索しているとされているため、制裁緩和に動くかもしれない。そうなれば米欧の足並みが乱れ、効果的な対ロ制裁を進めることが困難になろう。

 対中東外交では、オバマ政権は同地域への関与を若干ながら強化するとみる。特に、イスラム国(IS)掃討では、空爆やイラク国軍・シリア反体制派への武器訓練支援拡大などを行うだろう。だが、人的・財政的コストの増大やそれに対する世論の反発を招くようなシリアへの米地上軍派遣には躊躇しそうだ。対シリア戦略をめぐりオバマ大統領と対立していたヘーゲル国防長官が事実上更迭され、カーター前国防副長官が後任に指名されたが、副長官は、こうしたオバマ政権の意向を忠実に遂行するだろう。

 また、対イラン核協議では、イランに核開発を中止させるという目的に加え、IS掃討に向けた部分的連携を模索するという狙いから、オバマ政権は、15年6月末の合意期限までの核合意到達を模索するだろう。しかし、イランのウラン濃縮能力の規模をめぐる米・イラン双方の溝が埋まっていないため、合意到達は困難とみられる。交渉が長引けば、親イスラエル派の共和党議員らを中心に対イラン制裁強化法案が提出される可能性が高まりそうだ。

 政治停滞と消極外交が部分的に打開するという見通しは、オバマ政権に残された「わずかな好機」に他ならない。オバマ政権が残りの任期2年間で「レガシー(遺産)」を遺せるか否かは、この「わずかな好機」をとらえられるかに懸かっている。

 

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