政治・経済

 金融庁の有識者会議が11月25日に示した、企業統治指針(コーポレート・ガバナンスコード)の原案は、今後の日本の上場企業の在り方に波紋を及ぼすかもしれない。

 原案の大きなポイントは、1人ではなく複数の社外取締役の導入だ。2014年6月の成長戦略改訂で、岩盤規制といわれる農業、医療、雇用の改革などを抑えて、最初に明記されたことについてある経済官庁幹部は「官邸、政府首脳が、海外投資家向けにコーポレートガバナンスの問題を重視しているという意思表示」と解説する。

 企業統治に外部の目を導入せよという議論は長年行われてきた。会社法で、複数の社外取締役を義務づける案なども一時検討されてきたが、法による一律の強制には産業界も強く反発。直近の会社法の改正では、社外取締役を選任しない企業に説明責任を課すことで折り合った。また、社外取締役の人選についても、取引先やグループ企業などの出身者ではない独立取締役を選ぶことを求める声も強い。

 政府首脳の一部には、社内取締役が中心となっている日本企業の慣習などが海外投資家の理解を得ておらず、生産性の低さにもつながっているとの認識がある。外部の目が入れば、収益を内部留保に回さず、設備投資や配当、従業員の給与に回すようになり、政府が目指す経済の好循環実現に資するのではないかという考えがあるからだ。

 ただ、政府主導の取り組みに疑問の声も残る。有識者委員の中にも「社外取締役が増えれば収益が高まる因果関係はない」と指摘する声もあった。実際に社外取締役が多くても業績は低迷している企業もあり、「社外取締役の資質の問題」を挙げる有識者委員もいた。

 官主導の取り組みが、経済界に受け入れられ、政府の思惑通りの成果を出すのか。まずは、15年の株主総会シーズンの動きが注目される。

 
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