政治・経済

 農林水産省は12月4日、家庭用バターの品薄に対応するため、乳業大手4社に要請し、12月の小売店などへの供給量を11月に比べて約33%増やすと発表した。最も需要が高まるクリスマス前に供給を間に合わせるためで、今回の増産で品薄は解消されるとみている。ただ、33%増の供給量は1846トンで、これは2013年12月と同程度。12月14日投開票の衆議院選挙前の自民党政権のアピールとの声もあるが、牛乳やチーズが普通に売られる中、バターだけが品不足となる裏には黒い噂もあるようだ。

 農水省によると、家庭用バターの品不足は、猛暑だった昨夏に原料である生乳の生産量が落ち込んだことや乳牛数が減ったことが要因とされる。また、生乳は鮮度が求められる牛乳向けなどに優先的に使われるため、保存できるバター向けは後回しにされることも影響したという。

 だが、品薄の理由はほかにもあるらしい。ひとつは加工用に生乳生産量の半分以上を出荷している都道府県の酪農家に支給される「加工乳補助金」だ。バターや脱脂粉乳などに利用した場合180万トンを限度に1リットル当たり12・8円支給する条件が、現状は北海道にしか当てはまらない。他の自治体で、価格競争力で圧倒的に不利になる。そのため全国的にバター生産が行われない構造的問題が、品不足を招いたとされる。

 農水省は14年度に1万3千トンのバターの追加輸入を決定したが、これにも理由があるようだ。国産が足りなければ民間の事業者が輸入すれば済むが、実はバターの輸入は農水省の天下り団体とされる「農畜産業振興機構」が独占。輸入には他製品よりも高い関税がかけられ、乳業メーカーへ売る際には同機構への上納金(マークアップ)を支払わなければならず、バターは国際価格の3倍近くに跳ね上がる。農水省のこうした「バター利権」の確保によりバターの輸入を阻害しているというのだ。バター不足問題の真相はいかに。

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