文化・ライフ

 2014年で2度目を迎えたオールアバウトの「国民の決断」アワードが、12月2日に発表された。

 同サイトに執筆されたあらゆるジャンルの専門家(ガイド)による人気記事と、それらの傾向などから、その年に注目された、あるいは話題となった「人生の決断」を、ランキング形式で発表するものだ。約870人のガイドとオールアバウト編集部による審査を経て、各部門における順位を確定した後、最終的にトータルの順位を決める。

 果たして「決断」にかかわる14年のトレンドはどのようなもので、15年はどんな傾向が予測されるのか。江幡哲也社長の解説を交え、見ていくことにする。

 

政権の方針が大きく影響した2014年から2015年を予測すると?

 江幡氏によると、インターネットのキーワード検索からオールアバウトを訪問するユーザー数は年々伸びており、2013年8月以降はスマートフォンからのアクセスがPCのそれを抜き、現在は全体の60%強がスマホからだという。

 傾向として、恋愛・結婚など、女性比率が高いテーマほどスマホからのアクセス比率が高いとのことだ。一方、住宅、マネーといったテーマはPCからのアクセスが多い。オールアバウトでは、約1300のテーマの中からキーワード分析を行い、人々が何を求めているかを知ることによって、背後にあるニーズを探っている。

 「国民の決断」のランキングを追っていくと、14年の第1位は、住まい部門から「空き家にさせない〝実家対策〟」、2位がマネー部門から「増税前のやり過ぎ購入」、3位が転職・起業部門から「ママ、もう1度働く」となった。

出所:All About Award 2014「国民の決断」を基に本誌作成 江幡氏は「2014年はアベノミクスのプラス面だけでなく、マイナス面も含めて政権の方向性が反映されました。自主的な決断というより、決断せざるを得ないという傾向が13年より高まっています。お金や健康といったシビアなテーマに関する決断も増えたと思います」と、語る。

 トップ3の項目を見ると、確かにそれが分かる。

 1位の「空き家〜」の背景には、少子高齢化や少人数世帯の増加などによって、空き家比率が過去最高の13・5%となっている状況がある。

 これに加えて、15年1月から相続税と贈与税の税制改正により、基礎控除の6割引き下げ、最高税率の55%への引き上げが行われることが影響したとみられる。

 こうした動きが重なったことで、空き家処理に関連する記事への注目が高まった。

 ちなみに、13年の住宅部門では「『中古でいい』から『中古がいい』へ」がランクインしていた。中古住宅の需要が高まったことを反映したもので、ここでも住宅の供給過多の問題が背景にあることがうかがえる。

 2位と3位は消費増税、女性活用といった安倍政権の色が顕著に表れた格好だ。

 4月の消費増税直前は、景気への影響について楽観的なマスコミ報道も見られたが、実際は駆け込み需要による消費がかなりあったことを示している。ちなみに、増税前の需要増で価格が上がっている時に購入するも結局、増税後にはその商品の価格が下がっていたりして、節約になっていない場合も見られたという。

 妊娠・出産部門からエントリーされた4位の「新型出生前診断を受ける決断、受けない決断」については、かなりシビアなテーマだ。出産前の遺伝子検査によって、子どもを産むか中絶するかを判断するカップルが増えたことを反映している。江幡氏は「こういう選択肢がある時代に突入したということの表れ」と言う。

 

2015年の予測キーワードその1「空き××の活用」

 これらの結果を踏まえて、江幡氏が提示する15年のキーワードの1つ目は、「空き××の活用」。つまり、世の中で活用されていないリソースの有効活用である。

江幡哲也(オールアバウト社長兼CEO)

江幡哲也(オールアバウト社長兼CEO)

 例えば、個人の空き部屋の賃貸を仲介する「エアB&B」や空車のタクシーを検索する「ウーバー」、自分の空き時間を売る「タイムチケット」といったサービスがこれに当てはまる。15年はあらゆる領域で、こうしたサービスが拡大する可能性があるという。

 「例えばフリーマーケット系アプリを通じたリサイクルとリユースなど、個人の持っているものをやり取りする動きが活発化するとみられます。モノだけに限らず、自分のスキルや時間を活用したマーケットもできるでしょう。また、先進国では付加価値税や消費税が上がると、個人間売買が増えるというデータもあります。日本でも同じことが起きるのではないでしょうか」と、江幡氏は言う。

 背景には、スマホの普及によって、あらゆる「空き」をマッチングさせる仕組みが整ってきたことがある。今まで管理できなかった空きリソースを、管理できるインフラが整備されてきたことが大きい。

2015年の予測キーワードその2「健康・予防元年」

 江幡氏が注目するもう1つの動きは、15年内に予定されている「健康食品の機能性表示解禁」である。これまで原則的に医薬品にしか認められていなかった、体の部位ごとの健康維持増進効果の表示を、健康食品などにも認めるものだ。

 予防医学の観点から自分自身による健康管理の必要性が叫ばれて久しいが、実際には掛け声倒れになっているのが現状。これが、機能性表示の解禁によって、一気に行動に移す人が増え、真の意味での「健康・予防元年」が訪れると、江幡氏は予測する。

 「日本の医療は世界的に見ても非常に充実していますが、医療費高騰の問題もあって、一人ひとりが病気になりにくくするという方向にシフトしなければならないと言われてきました。ですが、実際はみんな面倒くさくてやらないし、特定のニーズしかありませんでした。それがスマホで体調管理ができるようになるなど、環境が随分と整ってきた上に、機能性表示が解禁されることで、食に対する人々の意識が圧倒的に変わると思われます」

 関連ビジネスへの企業の参入も増えると予測する江幡氏。この領域がマーケットとしてどこまで育つか、注目していきたい。

(文=本誌編集長/吉田 浩 写真=森モーリー鷹)

関連記事

好評連載

二宮清純のスポーツインサイドアウト

一覧へ

米山公啓の現代医療の真相

一覧へ

見落としやすい薬の副作用

[連載] 現代医療の真相(第19回)

現代医療の真相

[連載] 現代医療の真相(第18回)

肺炎球菌ワクチンから見えるワクチン後進国日本

[連載] 現代医療の真相(第17回)

認知症・徘徊老人を受け入れる街づくり

[連載] 現代医療の真相(第16回)

サプリメント・ブームにもの申す

[連載] 現代医療の真相(第15回)

インフルエンザ予防接種は受けるべきか

吉田たかよしのビジネス脳の作り方

一覧へ

ネット検索の集中力は「独り言」で高まる!

[連載]吉田たかよしのビジネス脳の作り方(第20回)

ビジネス脳の作り方

[連載]吉田たかよしのビジネス脳の作り方(第18回)

人材育成のコツ ~部下の才能を褒めるとダメ人材に育つ~

[連載]吉田たかよしのビジネス脳の作り方(第17回)

株取引の損得は男性ホルモン量で決まる?

[連載]吉田たかよしのビジネス脳の作り方(第16回)

アルツハイマー病は脳の糖尿病!?

ビジネストレンド新着記事

注目企業

一覧へ

刺激を浴びて徹底的に考え抜くことで自らを変革する―― 鎌田英治 グロービス 知命社中代表

「創造と変革」を掲げリーダー教育事業を展開しているグロービス。未来が予見しづらい混迷の時代を迎え、まさに新たな時代を切り拓いていくリーダーが求められている。そのような状況を受けて、グロービスは昨年、新たに執行役員以上に限定したエグゼクティブ向けのプログラム「知命社中」を開設した。[PR]次世代を担う経営リーダ…

ワンストップで手厚くサイトの売却をサポートするサイトマ――中島優太(エベレディア社長)

「支持政党なし」をつくった男のユニークな発想とビジネス――佐野秀光(情報通信ネットワークグループ社長)

新社長登場

一覧へ

「技術立脚の理念の下、付加価値の高い香料を開発します」――高砂香料工業社長 桝村聡

創業から95年、海外に進出してから50年以上たつ国際派企業の高砂香料工業。合成香料では日本最大手であり、国際的にも6%以上のシェアを持つ優良企業だ。100年弱の歴史を持つ高砂香料工業── まず御社の特徴をお聞かせください。桝村 1920年創業ですから、2020年に100周年を迎える香料の専門メーカーです。基本…

桝村 聡

「ネット広告が変わってもクライアント本位の姿勢は変わりません」--バリューコマース社長 香川仁

「最新情報を発信、人と企業の働く環境を良くしていきます」--マンパワーグループ社長 池田匡弥

イノベーターズ

一覧へ

老舗コニャックメゾンがブランド強化で日本市場を深耕――Remy Cointreau Japan代表取締役 宮﨑俊治

フランスの大手高級酒グループ、レミー・コアントロー社の日本法人。18世紀から愛飲されてきた名門コニャックの「レミーマルタン」や世界有数のリキュール「コアントロー」をはじめ、スピリッツやウイスキーなど戦略的なラインアップを日本市場で展開している。同社の宮﨑俊治代表取締役に事業展開について聞いた。 &nbs…

リグナ社長 小澤良介 家具のEC販売から様々な展開へ

内装空間の総合プロデュースで想いをカタチに創り上げる――ユニオンテック社長 大川祐介

大学の挑戦

一覧へ

専門分野に特化した“差別化戦略”で新設大学ながら知名度・ブランド力向上を実現――了徳寺大学・了徳寺健二理事長・学長

2000年設立で、了徳寺大学が母体のグループ法人。医療法人社団了徳寺会をグループ内に持つ。大学名の「了」は悟る、了解する、「徳」は精神の修養により、その身に得た優れた品性、人格を指す。「了徳寺」は人間としての品性、道を論す館の意味を込めた大学名だ。 聞き手=本誌/榎本正義 、写真/佐々木 伸 教育部門と…

大学の挑戦

創立100周年、西南学院大学・K.J.シャフナー学長「世界に貢献しインパクトを与える人材を育てる」〜国際交流・就職支援・インターネット出願〜 

「“STAND BY YOU”のスローガンの下、学生一人ひとりに寄り添う教育を」――中央学院大学・佐藤英明学長

経済界からのお知らせ

最新号のご案内

経済界2018年9月号
[特集]
この夏飲みたい日本の酒

  • ・総論 量から質へ“こだわり”が求められる時代へ
  • ・埼玉・秩父から世界一へ イチローズモルトの奇跡
  • ・家庭でも酒場でもレモンサワーが飲まれる理由
  • ・幕末からよみがえった都心の酒蔵 東京港酒造
  • ・本間哲朗(アプライアンス社社長)
  • ・伊豆で愉しむ野趣なワインと夏の富士
  • ・トップが薦めるこの夏のビール

[Special Interview]

 宮内義彦(オリックス シニア・チェアマン)

 「トップの器以上に会社は大きくならない」

[NEWS REPORT]

◆ヨーロッパに続け! 動き始めた日本の再エネ事業

◆東芝のPC事業を買収し8年ぶりに参入するシャープの勝算

◆日産―ルノー経営統合問題に苦慮するカルロス・ゴーン

◆大阪がエンタメで仕掛けるインバウンドと夜の経済

働きがいのある会社を総力取材

 人材育成企業20

 企業の成長戦略をクローズアップ

ページ上部へ戻る