マネジメント

経営の極意① 稼げる人間は好かれる人間

 ベストセラー『嫌われる勇気』(ダイヤモンド社)については、以前にも触れた。この書は、決して嫌われ者になれと勧めている本ではない、自由になりたければ、他人に嫌われることを恐れてはいけないと言っているだけだ。そういう内容だった。

 「嫌われる」、その逆の「好かれる」ということを、今回、稼ぐ人間の流儀との関係で考えてみたい。

 同書は、精神分析学者アドラーの考えを下敷きにした、いわば哲学書であるから、「嫌われることを恐れるな」と強い調子で主張することができる。だが現実の人間は、なかなか嫌われることを恐れないという、強い気持ちを持つことはできない。

 できれば、誰にも好かれたい、嫌われたくないと考えている。それが大多数だと思う。さて、この「好かれる」「嫌われる」に、「稼ぐ人とは」という限定枠をはめ込むとどんな答えが出てくるだろう。

 私の知っている範囲での人たちを見ると、稼ぐことができる人間は「好かれる人間」、反対に稼げない人間は「嫌われる人間」という色分けができそうである。

 考えてみると、これは当たり前の話だ。好かれる人間というのは、人間密着度の高い人である。言い換えれば、「この人と付き合いたい」と思わせる人間である。

経営の極意② 前向きのマインドが好かれる要因

 付き合いたいなと思わせる人間なのだから、相手のリアクションとしては、「仕事を任せたい」「協力してもらいたい」という結果になる。自然の流れとして、好かれる人間には人脈もでき、チャンスも多くなっていく。

 逆に、嫌われたら、お付き合いなど真っ平御免となる。これでは人脈も広がらないし、チャンスも訪れない。

 どこで、好かれると嫌われるの二股道で、ある人は好かれる道に進み、ある人は嫌われる方向に歩むのだろうか。

 さまざまな要素があると思うが、私は、その人の持つマインドが大きな要因になると考えている。

 好かれる人間、すなわち稼げる人間に共通するマインドは「前向き」であることだ。自信を持っているのだ。だから「自分にはこれができる」ということを明言できる。

 そういう態度で接する人を見ると、周囲の人たちには、強い期待感が生まれる。この人とお付き合いしたら、自分にもチャンスが生まれるんじゃないか、と思う。そこに根拠があるかどうかはともかく、前向きな人間とお付き合いしたいと願うのは当然のことだ。

経営の極意③ 『1000円ゲーム』のテーマは営業の王道

 一方で、嫌われる人間には自信が見られない。何ごとにも「自分にはできる」と言い切れない。責任を引き受けて、どんな困難も乗り切ろう、成功をつかみ取ろうという強いマインドに欠けている。

 こうした後ろ向きな人間を好きになれ、というほうが無理である。当然、人が離れていく。これではチャンスがどんどん失われていく。稼げる人間に、なるはずがないのだ。

 当たり前の話であるが、好かれる人間にならなくては、稼ぐ人間になれない。そのために、「自信を持つ」だけではなく、もうひとつ踏みこんで、「相手本位」の行動をする必要があると私は考えている。

 常に相手が何を考えているか、何を望んでいるのかを考えるのだ。実は近著『1000円ゲーム』(経済界)のテーマもこれである。

 自分本位の営業では、真に売れる営業マンにはなれない。客の真意を正確に把握して、献身的に相手を支えようとするのが、営業の王道なのである。伝説の営業マンは、この1点をいささかもそれない営業に徹している。だから客に好かれ、伝説的に稼ぐことができるのである。

[今号の流儀]

稼げる営業マンは「相手本位」を徹底する。だから好かれる。

 

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