テクノロジー

 デカップリング論にある程度の説得力があるのは、いくつかの国において、既に経済成長と環境負荷のデカップリングが見受けられているからだ。例えば、ドイツはここ10年間、環境汚染物質はもちろんのこと、エネルギー消費量を減少させながら、日本よりも高い経済成長率を維持している。

 もちろん、このような現象は、まだ一部の先進国で認められているにすぎず、世界規模で経済成長と環境負荷のデカップリングが可能かどうかは分からない。また、先進国でなぜ経済成長と環境負荷のデカップリングが起きているかの原因についても突き止めておく必要があるだろう。果たしてそれは、「先進国における産業のグリーン化が進展したせい」なのか、それとも、「グローバル経済化に伴う国際分業が進み、先進国に知識集約型産業が、開発途上国に汚染集約型産業が集中したせい」なのか。この辺りの解明は、低炭素社会の構築に向けた世界戦略を描く上でも、非常に重要なポイントになるはずだ。

 もう1点、緑の経済成長を実現する要素として強調されているのが、グリーンイノベーションに基づく新市場・新産業の創出である。

 低炭素社会への取り組みによって、新市場・新産業が生まれることは、誰もが期待することであり、また、認めるところでもある。ただし問題なのは、その新市場・新産業がどの程度の規模になり、どの程度の雇用を生む可能性があるかだ。緑の経済成長論をより確かなものにしていくためには、こうしたグリーンイノベーションの規模感を慎重に吟味していくことが不可欠と言える。

緑の経済成長を政策の中心に

 ともあれ、緑の経済成長が実現するならば、低炭素社会づくりの桎梏(しっこく)になっていたいくつかの問題を解決することができる。何よりも、緑の経済成長は、「緑(環境の維持・保全)」と「経済成長」を併せて達成するものだ。そのため、どちらか一方が実現しないことを理由に、それぞれに異を唱えていた国や人をも巻き込みながら、低炭素社会の実現を推進していくことができる。

 温室効果ガスCO2の多くは、エネルギー創出によって生まれている。

 したがって、緑の経済成長の鍵は、省エネの進展と再生可能エネルギーの普及が握っていると言える。省エネ・再生エネ開発に基づく成長をいかに加速させるか。これこそが、総選挙後の成長戦略で中心に置くべきテーマではないだろうか。

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