マネジメント

 私の興味対象の1つに「ホールディングス(持ち株会社)」制度があります。この制度と企業の成長性にはどんな相関があるのか、平成財閥が形成されるのか──。そんなことに興味がそそられます。ともあれ、持ち株会社とグループ法人税制は一体です。この税制活用の巧拙は、企業の財務戦略(税務戦略)、ひいては成長戦略を大きく左右すると言えるでしょう。本連載でも以前(第8回・2014年8月5日号)、ホールディングス制度と連結納税について触れましたが、今回は資産の移転・譲渡のポイントを説きます。

心得1 譲渡損益は繰り延べ可能

 通常資産の譲渡は時価取引が原則です。ですから、「含み益」は売買によって実現益となり課税されます。ところが、100%支配グループ内の資産移転に伴う譲渡損益は繰り延べが可能です。該当資産は、固定資産・土地・有価証券・金銭債権・繰延資産。ただし、売買目的の有価証券や帳簿価格1千万円未満の少額資産などは対象外となります。

心得2 繰り延べは1回のみ

 A社から100%支配グループ内のB社に資産を売却した場合、譲渡損益は繰り延べられ、A社は課税されません。ただし、それは最初の譲渡のみ。B社がA社支配グループ内のC社へ売却した場合、A社は繰り延べしていた譲渡損益を戻し入れなければならず、課税されます。一方、B社がC社に売却した譲渡損益は繰り延べされ、課税されません。

心得3 移転後の譲渡資産の処分は?

 では、譲渡資産に含み損があった場合にはどうなるでしょうか。この場合も、A社が100%支配グループ内のB社へ売却すると譲渡損は繰り延べされます。次に、B社が100%グループ内のC社へ売却すると、A社で売却損が計上されます。要するに、A社側の損金計上時期が子会社のB社側でコントロールできるわけです。ですから、短期間(保有年数の明文化された決まりはありませんが)での移転は、子会社を利用した節税と見なされるおそれがあります。そのような場合は、必ず専門家にご相談を。

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