政治・経済

 人間が子どもから大人へと成長するように、すべての企業は中小・零細企業として産声を上げる。トヨタ自動車やパナソニックのような日本を代表する世界企業も、創業当初は明日をも知れないベンチャー企業として創業。その後は、紆余曲折を経ながらも、創業者の強烈なリーダーシップと弛まぬイノベーションにより成長を遂げてきた。

 日本経済は90年代のバブル崩壊をきっかけに“失われた20年”に沈んできたが、ようやく復活の兆しが見えてきた。アベノミクスによる政策主導の追い風が大きかったものの、企業業績が急回復した背景には経営力がある。また、IPO市場が久々の大盛況で賑わっているように、起業を目指す若手経営者が台頭してきた。昨年は80社、今年は100社を超える見込みだが、この中から世界で戦えるグローバルトップ企業が出現するかもしれない。

 

 特集2015年注目企業25

 

「グローバル化を加速」--三木谷浩史(楽天会長兼社長、新経済連盟代表理事)

 失われた20年の間に急成長を遂げた企業として、まず最初に思い浮かぶのは楽天だろう。同社が創業した97年は、「インターネットで人は物を買わない」と言われていた時代である。そのような中で三木谷浩史会長兼社長は、わずか6人でエム・ディー・エム(現・楽天)を創業し、インターネットショッピングモール「楽天市場」をオープンした。13店舗という、今では信じられないほど小さな規模でのスタートである。

三木谷浩史楽天会長兼社長は「かつては良い物を作れば売れましたが、今はそれだけでは不十分です」と語る

三木谷浩史楽天会長兼社長は「かつては良い物を作れば売れましたが、今はそれだけでは不十分です」と語る

 その後、2000年に株式公開し、同社の成長はさらに加速する。11年には、創業14年目にして楽天市場が3万8千店舗、年間流通総額1兆円を突破。「楽天経済圏」のグローバル化を推進し続けている。また、同社は12年、社内の公用語を英語にしたことでも注目を集めた。

 新経済連盟の代表理事も務める三木谷氏は、「グローバル展開するには、当然、組織もグローバル対応に変えなければなりません。そのための早道は、単一言語にすることです」と語る。

 

 特集2015年注目企業25

 

「ゲームを輸出産業に」--國光宏尚(gumi社長)

 07年6月に創業したモバイルゲーム開発のgumiも躍進著しい成長企業だ。国内はもとより、海外への積極的な展開を推し進めている。14年12月に東証第1部市場への上場を果たし、現在は8カ国に拠点を構えている。

國光宏尚gumi社長は「やるからには世界ナンバーワンを目指します」と意気込む

國光宏尚gumi社長は「やるからには世界ナンバーワンを目指します」と意気込む

 gumiが海外展開で成功している秘訣は、各ローカルスタジオに与えている開発やマーケティングの裁量権が大きいところにある。

 同社を率いる國光宏尚社長は、「ゲームはそのまま現地語に訳しても文化や趣向の違いにより受け入れられないので、地域の特性に合わせて事業展開する必要があります。ゲームを自動車や電機のような輸出産業に育てたいですね」と語る。

 

 特集2015年注目企業25

 

「チーム業務の効率化を世界へ」--青野慶久(サイボウズ社長)

 ITバブル絶頂期の97年8月、愛媛県松山市でわずか3人で創業し、その後も成長を続けているサイボウズも忘れてならない存在だ。同社は米国の並みいるシリコンバレー企業を尻目に、国内のグループウェア市場で8年連続シェアナンバーワンを獲得(ノークリサーチ調査)。17年連続で黒字決算を達成している。

青野慶久サイボウズ社長は「創業当初は人材獲得に最も苦労しました」と振り返る

青野慶久サイボウズ社長は「創業当初は人材獲得に最も苦労しました」と振り返る

 共同創業者の1人で05年4月から社長を務める青野慶久氏は、「最初の数年間は、知名度がなかったためにソフトウェア販売会社に相手にしてもらえず、ウェブのみで販売するという戦略を採らざるを得ませんでした」と当時を振り返る。

 サイボウズもグローバル展開に動き出している。青野氏は、「われわれの情報共有ソフトウェアによって、世界中の“チーム”の業務効率を向上させることが夢です」と目を輝かせる。

 世界が日本経済の成長力に注目する中、この他にも元気のある企業が国内に多数存在する。ここからは、本誌が注目する“時代を駆ける挑戦者たち”を紹介していこう。

 

 特集2015年注目企業25

 

 

雑誌「経済界」定期購読のご案内はこちら

経済界電子版トップへ戻る

関連記事

好評連載

深読み経済ニュース

一覧へ
一般社団法人かぎろい出版マーケティング代表 西浦孝次氏

[連載] 深読み経済ニュース解説

2015年の経済見通し

[連載] 深読み経済ニュース解説

再デフレ化に突入し始めた日本経済

[連載] 深読み経済ニュース解説

消費税率引き上げ見送りの評価と影響

[連載] 深読み経済ニュース解説

安倍政権が解散総選挙を急ぐ理由

実録! 関西の勇士たち

一覧へ

稀有のバンカー、大和銀行・寺尾威夫とは

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第20回)

実録! 関西の勇士たち

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第17回)

三和銀行の法皇・渡辺忠雄の人生

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第14回)

住友の天皇・堀田庄三の人生

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第11回)

商売の神様2人の友情 江崎利一と松下幸之助

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第7回)

関西財界の歴史―関経連トップに君臨した芦原義重の長期政権

ビジネストレンド新着記事

注目企業

一覧へ

売上実績トップ企業に聞く「住宅リフォームの最新トレンドと課題」―榎戸欽治・ニッカホーム会長

素人にはなかなか分かりにくい住宅リフォームの世界。最近の業界動向と事業戦略について、売り上げ規模で全国ナンバーワンを誇るニッカホーム創業者の榎戸欽治会長に聞いた。(聞き手=吉田浩)榎戸欽治氏プロフィールリフォーム業界におけるニッカホームの競争力水廻りと木工事を絡めた中型リフ…

榎戸欽治・ニッカホーム会長

家族葬のファミーユが目指す「生活者目線で故人に寄り添う」葬儀の形

不動産のノウハウや技術を生かしサステナブルインフラへ―いちご

新社長登場

一覧へ

カリスマ創業者の後任として描く「新しいマネックス証券像」― マネックス証券社長 清明祐子

2019年4月、国内インターネット専業証券で初の女性社長が誕生した。創業者であり、カリスマ社長と呼ばれた松本大前社長から後任を託されたのが清明祐子氏。清明氏は09年にマネックスグループに入社し、子会社社長やグループ役員を経て、マネックス証券の社長に就任した。清明社長はカリスマの後任としてどんな会社をつくってい…

マネックス証券社長 清明祐子

「若者需要の開拓でビール市場を盛り上げていく」塩澤賢一(アサヒビール社長)

「事業部門の連携を活性化させ営業利益100億円を目指す」 内藤宏治(ウシオ電機社長 )

イノベーターズ

一覧へ

シリコンバレーへの挑戦が生んだ「起業家と投資家が待ち望んだサービス」― 戸村光・ハックジャパンCEO

起業家のスタンスとして、画期的な技術やビジネスモデルを社会で活かすことを目的としたイノベーション先行型もあれば、社会課題解決を最優先とし、そこに必要な技術やノウハウを当てはめていくやり方もある。ハックジャパンCEOの戸村光氏の場合は後者。対象となる課題は「身の周りの気付いたことすべて」だ。(取材・文=吉田浩)…

戸村光・ハックジャパンCEO

「測量美術」が起こす道路工事のイノベーション―草木茂雄・エムアールサポート社長

IT化で変革する産業廃棄物処理の世界―福田隆(トライシクルCEO)

大学の挑戦

一覧へ

専門分野に特化した“差別化戦略”で新設大学ながら知名度・ブランド力向上を実現――了徳寺大学・了徳寺健二理事長・学長

2000年設立で、了徳寺大学が母体のグループ法人。医療法人社団了徳寺会をグループ内に持つ。大学名の「了」は悟る、了解する、「徳」は精神の修養により、その身に得た優れた品性、人格を指す。「了徳寺」は人間としての品性、道を論す館の意味を込めた大学名だ。 聞き手=本誌/榎本正義 、写真/佐々木 伸 …

大学の挑戦

創立100周年、西南学院大学・K.J.シャフナー学長「世界に貢献しインパクトを与える人材を育てる」〜国際交流・就職支援・インターネット出願〜 

「“STAND BY YOU”のスローガンの下、学生一人ひとりに寄り添う教育を」――中央学院大学・佐藤英明学長

経済界からのお知らせ

最新号のご案内

経済界2019年12月号
[特集] 沸騰する食ビジネス!!
  • ・食ビジネスが熱い!! 未来型食品が社会課題を解決する
  • ・市場規模70兆円! 食ビジネスが過熱するわけ
  • ・完全バランス栄養食で誰もがラクして健康になれる
  • ・人工光型植物工場で世界の食と農に新しい常識を
  • ・宇宙食ビジネスで勝ちに行く 10年後に5千億円市場創出へ
  • ・“大人の給食”で栄養の基盤をつくる
  • ・人工肉で糖質制限者に無制限のおいしさを
  • ・テクノロジーで高品質なジビエ調達が可能に
  • ・昆虫食ビジネスの時代到来
[Special Interview]

 伊藤秀二(カルビー社長)

 掘り出そうカルビーの未来

[NEWS REPORT]

◆エンジニアへの高額給与で 富士通は生まれ変われるか

◆豊田章男・自工会会長が挑む東京モーターショー100万人

◆消費増税で現金主義は終焉 キャッシュレス時代が到来した

◆加速するeスポーツ市場! インテルが東京で世界大会を開催

[総力特集]

経済界創刊55周年記念 新しい日本のかたち

東京1964からの55年と東京2020以降の日本の姿

ページ上部へ戻る