政治・経済

NTTの光卸売りでマイライン以来の混乱か

 

 NTT東日本とNTT西日本が全国同一料金で2015年から提供する見通しの光サービス卸売りによって、インターネット接続事業者(ISP)間の顧客獲得競争勃発の懸念が通信業界に広がっている。

 現在はNTT東西が提供する光サービス「フレッツ光」とISPが提供するインターネット接続サービスは、市場支配的事業者に対する規制で別々に契約する仕組みになっている。

 しかし、卸売りが始まって別の通信事業者や新規参入事業者が提供する光サービスはネット接続サービスをセットで売れるため、ISPが獲得した利用者は同じネット接続サービスをセットにした光サービスを契約することになるためだ。

 さらに、NTTドコモがNTT東西から仕入れた光サービスを自社の携帯電話とセット販売し、「フレッツ光の個人ユーザーはドコモに移ることになる」(NTT幹部)ため、今までフレッツ光の利用者向けにネット接続サービスを提供してきたISPはドコモの光サービス販売に向け、一刻も早く自社サービスの契約数拡大に走ることになる。

 01年に固定電話で、事業者識別番号を押さなくても事前登録した事業者の回線に直接つながる「マイライン」制度が発足した際は、契約後に長期間解約されることが少ないため、スタートまでの事業者間の勧誘合戦は熾烈を極め、違法な電話勧誘や割引などが横行。マイラインの顧客奪い合いや契約をめぐるトラブルが社会問題化した。

 ドコモは光回線と携帯電話のセット割引で先行するKDDIに対抗するため、ネット接続料を現行の半分近い500円程度で仕入れようとISPに要請したが、ISPの猛反発を食ったうえ、総務省もドコモの担当者を呼びつけて〝事情聴取〟した。

 光卸売りの開始を前にルール無視の顧客争奪戦が必至の情勢となり、ドコモのセット割引で顧客を奪われる側となりかねないKDDIやCATV連盟は、情報通信審議会が光卸売りを認めるべきとする答申を出した日に、販売ルールを決めるべきと高市早苗総務相に意見申出を行った。

 光卸売りに対しては、自民党の情報通信戦略調査会(会長・川崎二郎元厚労相)が、地方の競争激化や透明性確保などを問題視。ドコモは当初14年12月1日としていた予約開始時期を15年2月まで延長せざるを得ない事態となっている。

 販売開始を前にした官民政の混乱振りを見るにつけ、販売がスタートすれば、マイライン以来の混沌が避けられそうにない。

 

雑誌「経済界」定期購読のご案内はこちら

経済界電子版トップへ戻る

関連記事

好評連載

深読み経済ニュース

一覧へ
一般社団法人かぎろい出版マーケティング代表 西浦孝次氏

[連載] 深読み経済ニュース解説

2015年の経済見通し

[連載] 深読み経済ニュース解説

再デフレ化に突入し始めた日本経済

[連載] 深読み経済ニュース解説

消費税率引き上げ見送りの評価と影響

[連載] 深読み経済ニュース解説

安倍政権が解散総選挙を急ぐ理由

実録! 関西の勇士たち

一覧へ

稀有のバンカー、大和銀行・寺尾威夫とは

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第20回)

実録! 関西の勇士たち

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第17回)

三和銀行の法皇・渡辺忠雄の人生

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第14回)

住友の天皇・堀田庄三の人生

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第11回)

商売の神様2人の友情 江崎利一と松下幸之助

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第7回)

関西財界の歴史―関経連トップに君臨した芦原義重の長期政権

ビジネストレンド新着記事

注目企業

一覧へ

売上実績トップ企業に聞く「住宅リフォームの最新トレンドと課題」―榎戸欽治・ニッカホーム会長

素人にはなかなか分かりにくい住宅リフォームの世界。最近の業界動向と事業戦略について、売り上げ規模で全国ナンバーワンを誇るニッカホーム創業者の榎戸欽治会長に聞いた。(聞き手=吉田浩)榎戸欽治氏プロフィールリフォーム業界におけるニッカホームの競争力水廻りと木工事を絡めた中型リフ…

榎戸欽治・ニッカホーム会長

家族葬のファミーユが目指す「生活者目線で故人に寄り添う」葬儀の形

不動産のノウハウや技術を生かしサステナブルインフラへ―いちご

新社長登場

一覧へ

カリスマ創業者の後任として描く「新しいマネックス証券像」― マネックス証券社長 清明祐子

2019年4月、国内インターネット専業証券で初の女性社長が誕生した。創業者であり、カリスマ社長と呼ばれた松本大前社長から後任を託されたのが清明祐子氏。清明氏は09年にマネックスグループに入社し、子会社社長やグループ役員を経て、マネックス証券の社長に就任した。清明社長はカリスマの後任としてどんな会社をつくってい…

マネックス証券社長 清明祐子

「若者需要の開拓でビール市場を盛り上げていく」塩澤賢一(アサヒビール社長)

「事業部門の連携を活性化させ営業利益100億円を目指す」 内藤宏治(ウシオ電機社長 )

イノベーターズ

一覧へ

シリコンバレーへの挑戦が生んだ「起業家と投資家が待ち望んだサービス」― 戸村光・ハックジャパンCEO

起業家のスタンスとして、画期的な技術やビジネスモデルを社会で活かすことを目的としたイノベーション先行型もあれば、社会課題解決を最優先とし、そこに必要な技術やノウハウを当てはめていくやり方もある。ハックジャパンCEOの戸村光氏の場合は後者。対象となる課題は「身の周りの気付いたことすべて」だ。(取材・文=吉田浩)…

戸村光・ハックジャパンCEO

「測量美術」が起こす道路工事のイノベーション―草木茂雄・エムアールサポート社長

IT化で変革する産業廃棄物処理の世界―福田隆(トライシクルCEO)

大学の挑戦

一覧へ

専門分野に特化した“差別化戦略”で新設大学ながら知名度・ブランド力向上を実現――了徳寺大学・了徳寺健二理事長・学長

2000年設立で、了徳寺大学が母体のグループ法人。医療法人社団了徳寺会をグループ内に持つ。大学名の「了」は悟る、了解する、「徳」は精神の修養により、その身に得た優れた品性、人格を指す。「了徳寺」は人間としての品性、道を論す館の意味を込めた大学名だ。 聞き手=本誌/榎本正義 、写真/佐々木 伸 …

大学の挑戦

創立100周年、西南学院大学・K.J.シャフナー学長「世界に貢献しインパクトを与える人材を育てる」〜国際交流・就職支援・インターネット出願〜 

「“STAND BY YOU”のスローガンの下、学生一人ひとりに寄り添う教育を」――中央学院大学・佐藤英明学長

経済界からのお知らせ

最新号のご案内

経済界2019年11月号
[特集] AIが知りたい!
  • ・IT未開の地に挑戦 産業構造をAIが変える!
  • ・AIは物理世界がまだ苦手 汎用ロボットの作り方
  • ・データ分析の起点は「何があれば経営に役立つか」
  • ・AI活用事例
  • ・ワトソン君は業務システムと連携する
  • ・米国で加熱する人工知能ブーム AIは21世紀最大のゲームチェンジャーか
[Special Interview]

 小川啓之(コマツ社長)

 「“経験知”に勝るものはない」コマツ新社長が語る未来

[NEWS REPORT]

◆SBIが島根銀行への出資の先に見据える「第4メガバンク構想」

◆家電同士がデータを共有 クックパッドが描くキッチンの未来

◆新薬の薬価がたった60万円! 日の丸創薬ベンチャーは意気消沈

◆1で久々の優勝を果たすもホンダの4輪部門は五里霧中

[総力特集]

 人材育成企業21

 SBIホールディングス/サイボウズ/メルカリ/ティーケーピー/シニアライフクリエイト/イセ食品/センチュリオン/タカミヤ/中央建設/アドバンテック/合格の天使/明泉学園/オカフーズ

ページ上部へ戻る