国際

プロが中心の英国マーケット

 アベノミクス「三本の矢」の1つである成長戦略の中に、「コーポレートガバナンスの強化」が含まれている。この取り組みは、日本企業の経営に対して大きな影響を与える可能性がある。過去10年間の株価上昇率は、世界の106%に対して、日本は57%と大きく後れを取っている(MSCI株価指数、2014年11月末)。日本企業の成長力の低さが主な要因だ。そこで、グローバルな視点から、ガバナンス改革にかかわる法制度を比較検討し、日本の改革のヒントとしたい。

 金融庁主導で、日本版スチュワードシップ・コードが制定された。これは、機関投資家と企業の対話を促進するものであり、機関投資家に対して、コードを順守しているか否かの開示を求めている。さらに、策定中のコーポレートガバナンス・コードは、上場企業に対して、コードを順守しているか否かの開示を求めるものだ。

 これらのコードは、英国の制度がモデルである。コーポレートガバナンス・コードは、1998年(前身は92年)、スチュワードシップ・コードは10年に策定され、英国では定着した制度と言える。これは〝comply or explain〟(従わなければ説明する)原則を採用している。つまり、コード自体は強制力がなく、従わなくても、罰則などはない。しかし、コードの順守状況と順守していない場合の説明の開示を義務付けている。

 英国では、機関投資家(含む外国人)の株式保有比率が83%(12年)と高い。つまりプロが中心のマーケットなのだ。このため、プロから見て、好ましくないガバナンスであると判断すれば、その企業の株式を売ることがある。その結果、株価下落や株主による企業との対話によって、企業によるコード尊重を促す仕組みとなっている。

 言い換えると、これが有効に機能するためには、投資家の多くがプロである必要がある。そして、企業のガバナンスを監視する以上は、機関投資家のガバナンスが優れていなければならない。その点、英国は、独立系、外国系など多様な機関投資家が活躍しており、親会社に過度に依存する運用会社は少ない。

 欧州共同体(EU)は、99年のユーロ導入に伴い、資本市場法制を統一してきた。その際、世界で最も発達した資本市場法制を持つ国のひとつである英国の制度をベースに、EU全体の制度を整備した。

 ただし、英国のコーポレートガバナンス・コードは、成長戦略として成功したとは言い難い。英国では、IT、自動車、機械などの有力企業はほとんど消え去ってしまった。時価総額の大きい英国企業の多くは、19世紀までの植民地時代の遺産の恩恵が大きい。大型成長企業は、通信のボーダフォン・グループのみだ。

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