国際

形式の追求ではなく本質的な経営改革を

 一方で米国では、これらのコードは存在しない。コーポレートガバナンスに関する米国の特徴は、証券取引委員会(SEC)と司法の影響力の大きさだ。

 会社法がコーポレートガバナンスに与える影響が大きいのは万国共通だが、米国では、SECが管轄する上場規則の影響が大きい。さらに、情報開示の規則を通じて、SECがガバナンスに影響を及ぼす。加えて、判例法や訴訟の影響も大きい。違反行為に対して、巨額の罰金や和解金が発生し、これが不正行為などの抑止力となる。

 また、アクティビストファンドによる株主アクティビズムや敵対的買収(非友好的買収)なども、企業に対して圧力を与える。米国企業の自己資本比率(ROE)は15%と世界でも最高水準だ。企業買収が活発であり、淘汰も厳しい。米国は、市場の警官であるSEC、政府や司法による厳罰主義、そして、徹底した市場原理(弱肉強食)がガバナンスの要諦だ。

 日本版コーポレートガバナンス・コード(たたき台)では、独立取締役選任を推進する方針が明確になっている。しかし、その効果は定かでない。

 欧米の主要企業の多くは、取締役会の過半数が独立取締役だ。しかし、リーマンショックやエンロン事件でも明らかなように、独立取締役が多いからガバナンスが良くなるわけではない。リーマンブラザーズのCEOの報酬は、9年間で5・2億ドル(約620億円、年平均70億円)だった。これを決定したのは、独立取締役のみで構成される指名委員会だった。日本でも、巨額の損失を計上した会社のCEOが億円単位の報酬を得ることを独立取締役が中心となって認めた例がある。

 00年以降のノーベル賞自然科学部門受賞者の増加に表れているように、日本の技術力は高い。課題は、高い技術力を生かすビジネスモデルの再構築なのだ。そのためには、(1)過度なモノづくり重視の修正(ソフトウェア、サービス、コンサルティング重視)、(2)日本型経営(年功序列、終身雇用)の修正、(3)積極的な財務戦略(株式持ち合いの解消、M&A)が、本質的な成長戦略として有効だ。

 結論として、形式を追求する改革ではなく、本質的な経営改革を実現することが、真の成長戦略であると考える。

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