政治・経済

 01年のエンロン崩壊、08年のリーマンショックを経て、今年はさらにリーマンショックから7年目になる。強欲なウォールストリートを縛るためオバマが10年に金融規制法を作ったが、懲りない人々がまた金融を肥大化させている。背景には世界中の超金融緩和があり、ジャブジャブになっているお金を相手に、新たな金融派生型商品を売り込むビジネスモデルが生まれ、ヘッジファンドやノンバンク、MMFといった「シャドーバンク」が跋扈している。今、世界中が超金融緩和の中にあって、行き場を失ったマネーに対して、ハイイールド債のようなリスクの高い、債権をまぜこぜにしたものが、高利息を謳って売り込まれている。

 14年10月末に米国はQE3を収束させて、金融引き締めの局面に入った。そうした状況下で、リスクの高い金融派生型商品の運命はどうなるのか。リーマンショックを経験しても一向に懲りていない。世界中が「みんなで渡れば怖くない」とばかりに、リフレ経済学、つまり、金融緩和して株価を上げて、やがてはみんなにも恩恵が回ってきますよという経済学の中にはまっている。アベノミクスとは、そのものずばりの政策だ。

危ない橋を渡って支えられた株価

 日本という国は、経済の基盤である技術と産業力を磨き、実体経済を大事にし、マネーゲームを是としない、という考え方で国家を形成してきた。しかし、いつのまにかウォールストリートの波に飲まれて、アベノミクスに拍手を送るようになった。

寺島実郎 14年12月の解散総選挙では、大メディアを中心に自公圧勝報道がなされているが、自民だけで310議席は堅いと言われていたのが、291議席しか取れなかった。小選挙区では選択肢がなかったが、比例区において、このまま自公圧勝では危ないと踏みとどまった結果が291という数字だ。

 投票率が52・7%だったということは、国民の半分は選挙に行かなかったということ。理由は、政治的無関心か、政治不信か、無力感だろう。問題は、比例区における自民党の得票率で、その数値は33・1%しかない。52・7%と33・1%を掛ければ17・4%にすぎない。有権者の2割に満たない人の支持を得ただけなのに、6割以上の議席を確保する。有権者の17%が支持したにすぎない党が、6割以上の議席を獲得するシステムに、国民が凍り付いてますます政治不信を深めている。しかも、税金を上げる一方、政治家は自分たちの身は切らず、ますます国民は政治不信、無力感を感じる局面にある。

 政権が安定し、アベノミクス万歳になりそうな局面だったが、選挙以降の株価は大きく下落している。理由を明かすと、選挙が終わるまでは年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が年金を株式市場に投入して日経平均1万7千円台を維持していたからだ。14年10月末の異次元金融緩和から5週間たったが、この間、外資が2・2兆円の買い越し、日本の法人機関投資家が0・4兆円の買い越し、日本人の個人投資家は3・1兆円の売り越しだから、常識的には株価は落ちるはずだが、年金を突っ込んで株価を支えていた。

ページ:
1

2

3

関連記事

好評連載

深読み経済ニュース

一覧へ
一般社団法人かぎろい出版マーケティング代表 西浦孝次氏

[連載] 深読み経済ニュース解説

2015年の経済見通し

[連載] 深読み経済ニュース解説

再デフレ化に突入し始めた日本経済

[連載] 深読み経済ニュース解説

消費税率引き上げ見送りの評価と影響

[連載] 深読み経済ニュース解説

安倍政権が解散総選挙を急ぐ理由

実録! 関西の勇士たち

一覧へ

水辺に都市が栄える理由と開発の事例を探る

[特集 新しい街は懐かしい]

水辺に都市が栄える理由と開発の事例を探る

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第20回)

稀有のバンカー、大和銀行・寺尾威夫とは

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第17回)

三和銀行の法皇・渡辺忠雄の人生

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第14回)

住友の天皇・堀田庄三の人生

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第11回)

商売の神様2人の友情 江崎利一と松下幸之助

ビジネストレンド新着記事

注目企業

一覧へ

社員17人で41億円を売り上げた社長が語る「中国で越境ECを成功させる秘訣」―栖原徹(ピルボックスジャパン社長)

今や米国と並び、世界最大級の消費市場となった中国。その中国で爆発的なヒットを飛ばしているのが健康食品・サプリメントなどの越境ECで展開するピルボックスジャパンだ。同社を率いる栖原徹社長に、中国市場で成功するための秘訣を聞いた。(取材・文=吉田浩) 栖原徹・ピルボックスジャパン社長プロフィール…

栖原徹・ピルボックスジャパン社長

意思決定の効率化を実現しデータ活用に革命を起こす―インティメート・マージャー

総合事業プロデューサーとして顧客と共に成長する―中尾賢一郎(グランドビジョン社長)

新社長登場

一覧へ

森島寛晃・セレッソ大阪社長が目指すクラブ経営とは

前身のヤンマーディーゼルサッカー部を経て1993年に創設されたセレッソ大阪。その25周年にあたる2018年12月に社長に就任した森島寛晃氏は、ヤンマー時代も含めて通算28年間セレッソ一筋、「ミスターセレッソ」の愛称を持つ。今も多くのファンに愛される新社長が目指すクラブ経営とは。聞き手=島本哲平 Photo=藤…

森島寛晃・セレッソ大阪社長

カリスマ創業者の後任として描く「新しいマネックス証券像」― マネックス証券社長 清明祐子

「若者需要の開拓でビール市場を盛り上げていく」塩澤賢一(アサヒビール社長)

イノベーターズ

一覧へ

起業家にとって「志」が綺麗ごとではなく重要な理由―坂本憲彦(一般財団法人立志財団理事長)

 企業経営者にとって「理念」や「志」が大事とはよく言われるものの、今一つピンと来ない向きも多いのではないだろうか。成功した経営者がいくら精神面の重要性を説いても、日々の現実と格闘している経営者にとっては、ただの綺麗ごとに聞こえてしまうかもしれない。 それでも、ビジネスを成功させるために最も大切なのは「志」だと…

立志財団

勉強ノウハウと法律知識で企業の「働き方改革」を促進する―鬼頭政人(サイトビジット社長)

アスリートのセカンドキャリア問題に真正面から取り組む―中田仁之(一般社団法人S.E.A代表理事)

大学の挑戦

一覧へ

専門分野に特化した“差別化戦略”で新設大学ながら知名度・ブランド力向上を実現――了徳寺大学・了徳寺健二理事長・学長

2000年設立で、了徳寺大学が母体のグループ法人。医療法人社団了徳寺会をグループ内に持つ。大学名の「了」は悟る、了解する、「徳」は精神の修養により、その身に得た優れた品性、人格を指す。「了徳寺」は人間としての品性、道を論す館の意味を込めた大学名だ。 聞き手=本誌/榎本正義 、写真/佐々木 伸 …

大学の挑戦

創立100周年、西南学院大学・K.J.シャフナー学長「世界に貢献しインパクトを与える人材を育てる」〜国際交流・就職支援・インターネット出願〜 

「“STAND BY YOU”のスローガンの下、学生一人ひとりに寄り添う教育を」――中央学院大学・佐藤英明学長

経済界からのお知らせ

最新号のご案内

経済界2020年3月号
[特集] 令和女史のリーダー哲学
  • ・元谷芙美子(アパホテル社長)
  • ・石黒不二代(ネットイヤーグループ社長)
  • ・小巻亜矢(サンリオエンターテイメント社長)
  • ・石渡美奈(ホッピービバレッジ社長)
  • ・戸田泰子(理化電子社長)
  • ・吉本新喜劇で初の女性座長は「イキらず、驕らず、高ぶらず」の支えるリーダー
  • ・敏腕ヘッドハンターが語る リーダーに求められる力は使命感に裏付けられた勇気
  • ・本と映画に学ぶ女史たちの生き様
[Special Interview]

 橋本聖子(女性活躍・東京五輪・男女共同参画担当大臣)

 女性が輝く新時代へ 政治家もOne Team

[NEWS REPORT]

◆CESでコンセプトカーを発表 ソニーが自動車メーカーになる日

◆アマゾンと提携したライフ 新規顧客獲得は成功するのか

◆ゴーン被告逃亡の影響は? 内田誠・日産新社長の前途

◆血液によるがん診断で日本の医療費は高騰する

[特集2]

 スタートアップ!関西

 日本の起業家たちが関西に注目する理由

ページ上部へ戻る