政治・経済

山田厚俊

山田厚俊(やまだ・あつとし)
ジャーナリスト
1961年生まれ。建設業界紙、タウン紙記者を経て95年、元大阪読売社会部長の黒田清氏が代表を務める「黒田ジャーナル」で阪神・淡路大震災の取材に参加。その後、テレビ制作に携わり、週刊誌で活動を始める。現在、フリージャーナリストとして主に週刊誌、ビジネス誌で執筆。

鈴木 今回の解散総選挙のベースにあるのは、最終コーナーで憲法改正をやりたい、ここに向けての逆算したカレンダーがあると見ています。安倍首相は憲法改正に向けてひた走っているように見えます。仮に、アベノミクスによる経済の立て直しが最大の政治目標であれば、もっと違うやり方があったのではないでしょうか。経済政策は憲法改正へ支持を高めていくためのもののような気がします。

德川 黒田東彦日銀総裁による大型金融緩和、いわゆる〝黒田バズーカ〟をよく見ると、実は外的要因による効果でしかありません。13年4月の1回目はユーロ危機が再燃しそうだったのでユーロ圏の国債を大量購入、14年10月の2回目は米国で量的緩和(QE3)が終わって株価が下がった瞬間に行い、米国株が跳ね上がったのです。つまり、日本の景気とは関係がありませんでした。特に1回目には、安倍政権になる直前に始まっていた円安株高の基調が順調に続いていたので、金融緩和をさらに進める必要はなかったと思います。アベノミクスの第2の矢、財政出動は規模が小さく、しかも公共事業は人手不足で進まない、第3の矢の成長戦略は、実は実態がない。ところが株価は高いことに加えて原発再稼働に対して財界の期待が高い。それが追い風になっていたことは否めません。

山田 そういえば13年秋、安倍首相は第3の矢について周辺に対し「そんなもの必要がない。東京五輪開催があるから大丈夫」と言ったそうです。結局、最後は公共事業の拡大で乗り切ろうということでしょう。

德川 岸信介ではなく田中角栄、なんですね(笑)。

山田 なるほど。そうですね。

德川 バブル崩壊以降、日本の企業は変容してきました。正社員から契約社員、工場は海外に移し、国内の雇用がボロボロになりました。分配が悪化しているので消費が縮小していて成長が止まっている。例えば、国民の多くが終身雇用だと思っていれば、住宅ローンを組みますが、契約社員だと組めません。住宅購入をするかしないかで、一人頭の生涯消費は数千万円違ってくる。自動車で数百万円です。生涯消費が伸びれば雇用も伸びて、それが終身雇用を強化する。単純化すれば、そういう話です。それがなくなった結果の長期低迷なわけですから、金融緩和や、雇用をさらに流動化させる成長戦略では、どうしようもない。

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