政治・経済

地域主権は必ずしもバラ色ではない

德川家広

德川家広(とくがわ・いえひろ)
1965年東京都生まれ。政治経済評論家。翻訳家。徳川宗家19代目にあたる。慶応義塾大学卒業後、米ミシガン大大学院で経済学修士号を取得。国連食糧農業機関(FAO)ローマ本部、ヴェトナム・ハノイ支部に勤務後、米コロンビア大大学院で政治学修士号を取得。『自分を守る経済学』『日本政治の大転換』など著書、訳書多数。

── とは言え、アベノミクスの成否が安倍政権の命運を握っていると言って過言ではありません。

鈴木 今までのやり方を見ていると、中央省庁のヒモ付き予算で法律もそのままだったりしています。要は、予算も権限も霞が関です。昨年に引き続き、今年も地方創生がメーンテーマでしょう。道州制がいいとは言わないが、自治の仕組みを根本的に変えていかないと成り立たないと考えています。

德川 そのとおりですね。もう少し、痛みを伴った改革が必要でしょう。しかし、バッサリ切られるべき人たちが一番強いポジションにいるわけです。県庁や電力会社などの組織が、まさにそれに該当します。

山田 地方では自治体職員やJA職員の高給ぶりが際立っています。地方公務員と地方議員の削減は急務ですね。

鈴木 都道府県庁という行政組織は、3分の2は要らないかもしれませんね。

德川 そうですね。しかし、バッサリ切ると村が消えます。県でも消滅するところが出てくる。

鈴木 地域主権というのは、必ずしも地方にとってバラ色の未来ではない。権限と予算が地方に降りてきたら、地方が自立して何がやれるかが問題となってくる。竹下登内閣時の1988〜89年、ふるさと創生事業で各市町村に対し1億円を支給しました。その際、多くの自治体が自治省に電話して「どう使えばいいのか」と聞いたという。どんなに権限を移譲しても知恵も能力もない自治体がいかに多いかが分かります。地域主権を実行するということは、なくなっていく自治体ができる「地域間競争」だということを覚悟しなければならない。ここが語られていないことが問題だと思っています。

対談の様子德川 全国各地を講演で回ると、景色はどこも素晴らしいですし、海の幸や山の幸に恵まれているところがたくさんある。しかし、「ここは何もない」と地元の皆さんはおっしゃいます。危機感はあるけれどアイデアもないし、リスク・マネーもない。

鈴木 もちろん、観光資源や食材など地方は豊富ですが、地域主権には社会保障の仕組みなどの制度設計を組み替えて地域間競争がなくては成り立たない。この意識が地方には希薄なのではないでしょうか。

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