政治・経済

 再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT)の見直しが進んでいる。気になるのは、この議論が再生エネルギーの拡大を嫌う電力会社の望む方向に進んでいることだ。原子力発電所の再稼働に反対する一部マスコミまでも、この動きに流されている。

問題だらけの現行制度

電力会社の担当者ら

経産省の会合で受け入れ可能な太陽光発電設備を公表する電力会社の担当者ら(Photo=時事)

 現行のFIT制度が欠陥を抱えていることは明らかだ。その内容は3点に集約される。

 第1に、電源としての安定性に問題がある。FITの認定を受けた発電システムのうち9割以上を、メガソーラーなどの大規模太陽光発電所が占める。太陽光が最大出力で発電できるのは、日中の数時間だけで、夕刻から夜にかけての需要時間帯をカバーできない。また、曇りや雨など当日の天気や季節によっても出力が大きく変動する。この不足や変動を補うには何らか別のシステムを準備する必要がある。

 第2の問題は、メガソーラーの立地だ。住宅の屋根に置く太陽光パネルは、まずその住宅で電力を使い、余った分を周辺に供給する。人の住む場所にある発電所だから、電気の需要もある。メガソーラーは、他の用途がなくて地価の安い原野や山林に設置するのが一般的。東京や大阪などの大需要地からは遠い。

 もし今、九州で認定を受けたメガソーラーがすべて稼働すれば、日中のピーク時に発生する電力は九州内の需要を上回ってしまう。北海道も同様な状況だ。九州や北海道の余剰分を大都市に回すには、新たに送電線を建設しなければならない。その費用は1系統だけで2千億〜3千億円。全国に張り巡らすには少なくとも数系統が必要だ。

 第3の問題は、固定価格による弊害である。再生エネの電力を、実際の電気料金より高く買い取ることで普及を促すのがFITの狙いだが、差額分は最終的に、再生エネ賦課金として電気料金に上乗せされる。つまり最終利用者が負担するわけだ。

 FITの計画認定を受けたのは土地と資金に余裕のある企業や富裕層だ。設備さえ建設すれば、今後20年間、国が約束した料金で確実に電気を買い取ってもらえる。事業のリスクが小さい上に、利回りは金融商品をはるかに上回る。先行して導入したドイツなどで、事実上のカネ持ち優遇制度だという批判があるのも理解できる。

 これらを考えれば、FITの制度見直しは妥当だ。太陽光だけを高く買い取る料金体系を見直し、夜でも安定した発電が見込める地熱やバイオマス発電の比率を高める必要がある。また好天の日中など、太陽光発電が一時的に需要をオーバーした分は、使われない電力なのだから支払いも発生しない仕組みにするのが妥当だろう。

 専門家の多くは、以上のように主張し、既存メディアも納得している。しかし、見落としている問題がある。

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