政治・経済

息を吹き返す電力業界

 そもそも、太陽光に傾斜した現在の再生エネルギー政策の問題点は当初から指摘されていた。制度スタート後に判明した問題ではない。そして対処の方法も分かっているのだ。

 送電線が不足していることは既に指摘した。日中の過剰な電力を吸収するには、ポンプで水をくみ上げて夜間の発電に利用する揚水発電が有利だ。メガソーラーが地価の安い遠隔地に集中している問題は、太陽光の買い取り価格を固定にせず、大都市周辺ほど高くするなどの価格政策によって調整可能だろう。

 そうした事情をすべて理解しているのは電力会社のはずだ。電力会社には、こうした問題を解決する技術も、そのための費用を試算する能力もある。しかし、再生エネを増やそうという意思が全くなかった。

 例えば送電線の問題。送電線は本来、初期の導入コストではなく長期間使用するインフラとして考えなければならない。再生エネルギー拡大のために必要なら、公共事業として国費を投入してもいいだろう。

 しかし電力会社は無言のサボタージュを続けている。なぜなら地域独占体制にある電力会社にとって、地域をまたぐ送電線の建設はタブーだからである。送電線網が全国に張り巡らされたら、地域独占のうまみが崩れ、電力自由化が加速する。電力会社はそれを恐れている。

 日中の変動を吸収するための揚水発電は、日本では原子力発電とセットで建設されてきた。夜間に需要を上回る原発の電力を揚水に回し、日中の需要時間帯に発電する仕組みだ。既存の揚水を再生エネに使えば、原発の稼働に支障が出かねない。

 揚水以外にも、出力を小刻みに調整できる天然ガス火力発電所を増やせば日中の変動をある程度は吸収できる。だが、電力会社は燃料コストの低さを理由に出力調整しにくい石炭火力発電所にこだわり続けている。

 計画的に準備をしていれば、「再生エネルギーが余る」などという問題は起きなかった。日本の再生エネルギーの電源比率は、2013年の段階でまだ2%だ。ここでギブアップしていては、日本はいつまでも化石燃料と原発から脱却できない。

 そもそも電力会社にとって、再生エネルギーは、自分たちの商品を売れなくする「商売敵」なのである。

 再生エネルギー導入を闇雲に急いだ民主党政権にも罪はある。しかし、何より電力会社が日本の次世代エネルギーの普及を妨げている。原発事故で勢いを失った電力会社の主張が、FIT見直しで息を吹き返していることを忘れてはならない。

(文=ジャーナリスト/三浦 剣)

 

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