テクノロジー

 「私たちのミッションは交流駆動回路での各種革命を起こすこと」

 その革命の第一歩となったのは、震災で動き出したビジネスへの想いを結実させたLED照明。日本の大企業が続々と評価し始めた技術で、巨大なマーケットを一気呵成に攻めていく。

大震災がLED照明会社立ち上げのきっかけに

マツウラ・リチャード

マツウラ・リチャード
1985年生まれ。上智大学卒業後、2009年シンガポールの商事会社で貿易コンサルタント業務に従事。金属、石炭、石油、ガスの採掘から製品の在庫管理まで手掛ける。11年個人事業としてLED照明の販売を開始し、12年ステラージアLEDを設立。

── 東日本大震災がひとつの契機になったと聞きました。

マツウラ 震災が起きた時はちょうどLED関連のトレードショーであるライティング・フェアの会場にいました。会場には後に開発にかかわる技術者の1人と一緒にいたんですが、その時彼は、私がエコのフィールドに興味があることを知っていて〝何かやりましょうよ〟とけしかけていたんです(笑)。

 その時に地震が起きて、目の前のブースがものすごい勢いで動いて、物が落ちてきたり、会場の人たちが外に向かって走り出していったり。報道で原発のことも知りました。これはすごいことが起きてしまった、と思ったと同時に、何かをやるんだったら今かもしれない、そういうサインかもしれないと感じたのです。

── そのライティング・フェアに今年度は出展を予定していますね。

マツウラ 全体の中でも4番目くらいの大きさのブースでの出展になります。これだけ大掛かりな展示を行い、ブランドを宣伝していくということは、告知する内容に自信があってこそのことです。

 私が誇りとする技術者のチームは、他社には決してまねできない素晴らしい商品を作ってくれました。ですから、エンドユーザーの方だけでなく、リセーラーの方々、販売代理店の方々にもその価値を認めていただく必要がありますし、実際に既に高い評価も頂いています。これらの販売活動を加速するためにも、インパクトのあるプロモーションは必要です。そのための投資を決断するのは営業を役割とする私の仕事なのです。

高い技術を持つ大手法人が評価した「最高のLED照明」

── 現在の日本での販売状況はいかがでしょうか。

マツウラ 少しずつ日本での採用実績が増えてきています。最近では、本田技研工業(HONDA)さま、宇宙航空研究開発機構(JAXA)さま、ブリヂストンさまに導入していただきました。いずれも高い技術を持つ法人です。どれだけ当社のLED照明を開発するのが大変なことなのか、他のLEDとどれだけ違うものなのかを、よく理解していただけた上での採用でした。今後はこの事実を一部の技術に詳しい人たちだけでなく、一般の方々にも分かってもらえるように実績を積み重ねたいと思っています。

── 販路を広げるのには価格も重要です。交流駆動LEDの製造コストは直流のものと比べてどうでしょうか。

マツウラ 直流LEDの駆動回路と当社が開発した交流駆動のものを比較していただければ分かるように、まず部品の数が異なります。交流駆動のほうが圧倒的に部品の数が少ないのです。部品が少ないということは、壊れるリスクが減りますし、製造コストも下がります。また、私たちが開発した多くの新しい技術も製造コストを下げるのに寄与しています。今年は大量生産も予定しているので、それによるコストダウンも見込めます。

── 売り上げに関する予測はいかがですか。

マツウラ LED照明の市場はとても大きいものです。例えば、〝高天井照明〟と言われている市場があります。これは倉庫、工業用ビル、屋内スポーツ施設など、高さのある構造物の天井の照明を指します。現在、日本にあるこれらの施設の照明器具の多くは水銀灯かメタルハライドランプでその数は1500万台とも2千万台ともいわれています。もしこの照明をすべてLEDに交換するとしましょう。仮に1台当たり10万円とすると、約2兆円の市場規模が見込めます。この10%のシェアを獲得できれば2千億円です。

 もちろん〝高天井照明〟は市場の1つにすぎません。これから参入するたオフィス市場はさらに大きいものです。そのほか街灯など、そして世界へ目を向ければまだまだ多くの市場が存在しているのです。

── 尊敬する経営者がいれば教えてください。

マツウラ 私がロールモデルとさせていただいている方、そして私とは異なる考え方に薫陶を受けている方など何名かいます。日本では、孫正義氏。それからヴァージン・グループの創設者であるリチャード・ブランソン氏、そしてイーロン・マスク氏などです。

── 審査員の1人、夏野剛さんが、日本のイーロン・マスクになれるのではないかと言っていました。

マツウラ それには、まだまだ長い道のりですね(笑)。

(聞き手=本誌編集長/吉田 浩 写真=幸田 森)

 

【金の卵発掘プロジェクト】記事一覧はこちら

 
経済界 電子雑誌版のご購入はこちら!
雑誌の紙面がそのままタブレットやスマートフォンで読める!
電子雑誌版は毎月25日発売です
Amazon Kindleストア
楽天kobo
honto
MAGASTORE
ebookjapan
 

雑誌「経済界」定期購読のご案内はこちら

経済界電子版トップへ戻る

関連記事

好評連載

エネルギーフォーカス

一覧へ

緑の経済成長とエネルギー

[連載] エネルギーフォーカス

Energy Focus

[連載] エネルギーフォーカス

今後、10年後の電力業界の様相(2)

[連載] エネルギーフォーカス

発電単価から既存原発の経済性を考える

テクノロジー潮流

一覧へ

科学技術開発とチームプレー

[連載] テクノロジー潮流

テクノロジー潮流

[連載] テクノロジー潮流

エボラ出血熱と情報セキュリティー

[連載] テクノロジー潮流

21世紀の日本のかたち 農電業と漁電業

[連載] テクノロジー潮流

工学システムの安全について

[連載] テクノロジー潮流

エネルギー移行と国民の価値観の変化

ビジネストレンド新着記事

注目企業

一覧へ

次なるステージを駆け上がる日本電子「70年目の転進」–日本電子

 最先端の分析機器・理科学機器の製造・販売・開発研究等を手掛ける日本電子(JEOL)は、ノーベル賞受賞者を含むトップサイエンティストや研究機関を顧客に、世界の科学技術振興を支えてきた。足元の業績は2019年3月期で連結営業利益、同経常利益、同最終利益がいずれも過去最高を更新。かつては技術偏重による「儲からない…

独自開発のホテル基幹システムで業務効率化と顧客満足度を向上–ネットシスジャパン

逆転の発想で歴史に残る食パンを 生活に新しい食文化をもたらす–乃が美ホールディングス

新社長登場

一覧へ

森島寛晃・セレッソ大阪社長が目指すクラブ経営とは

前身のヤンマーディーゼルサッカー部を経て1993年に創設されたセレッソ大阪。その25周年にあたる2018年12月に社長に就任した森島寛晃氏は、ヤンマー時代も含めて通算28年間セレッソ一筋、「ミスターセレッソ」の愛称を持つ。今も多くのファンに愛される新社長が目指すクラブ経営とは。聞き手=島本哲平 Photo=藤…

森島寛晃・セレッソ大阪社長

カリスマ創業者の後任として描く「新しいマネックス証券像」― マネックス証券社長 清明祐子

「若者需要の開拓でビール市場を盛り上げていく」塩澤賢一(アサヒビール社長)

イノベーターズ

一覧へ

非大卒就職マーケットの変革に挑む元教師の挑戦―永田謙介(スパーク社長)

日本企業の年功序列と終身雇用が崩壊に向かう中、制度を支えてきた大学生の新卒一括採用の是非もようやく議論されるようになってきた。一方、高校卒業後に就職する学生のための制度は旧態依然とし、変化の兆しがほとんど見えない。こうした現状を打ち破るべく、非大卒就職マーケットの改革に挑戦しているのがSpark(スパーク)社…

起業家にとって「志」が綺麗ごとではなく重要な理由―坂本憲彦(一般財団法人立志財団理事長)

勉強ノウハウと法律知識で企業の「働き方改革」を促進する―鬼頭政人(サイトビジット社長)

大学の挑戦

一覧へ

専門分野に特化した“差別化戦略”で新設大学ながら知名度・ブランド力向上を実現――了徳寺大学・了徳寺健二理事長・学長

2000年設立で、了徳寺大学が母体のグループ法人。医療法人社団了徳寺会をグループ内に持つ。大学名の「了」は悟る、了解する、「徳」は精神の修養により、その身に得た優れた品性、人格を指す。「了徳寺」は人間としての品性、道を論す館の意味を込めた大学名だ。 聞き手=本誌/榎本正義 、写真/佐々木 伸 …

大学の挑戦

創立100周年、西南学院大学・K.J.シャフナー学長「世界に貢献しインパクトを与える人材を育てる」〜国際交流・就職支援・インターネット出願〜 

「“STAND BY YOU”のスローガンの下、学生一人ひとりに寄り添う教育を」――中央学院大学・佐藤英明学長

経済界からのお知らせ

最新号のご案内

経済界2020年5月号
[特集] 巻き込む力
  • ・高岡浩三(ネスレ日本社長兼CEO)
  • ・唐池恒二(九州旅客鉄道会長)
  • ・河野 仁(防衛大学校教授)
  • ・入山章栄(早稲田大学大学院・ビジネススクール教授)
  • ・出口治明(立命館アジア太平洋大学学長)
  • ・中竹竜二(日本ラグビーフットボール協会理事)
  • ・時代も国境も超えた普遍のリーダーシップを学べるベストブックス
[Special Interview]

 小林喜光(三菱ケミカルホールディングス会長)

 イノベーションを起こすために「人間とは何か」を問う

[NEWS REPORT]

◆零細企業でも活用できるインターネットM&A最前線

◆業界再編はあるのか 日本製鉄、巻き返しへの一手

◆技術研究所を解体してホンダは何を目指すのか

◆新型コロナウイルス治療薬 なぜ日本企業は創れないのか

[特集2]

 経営者に贈る「イロとカネの危機管理」

ページ上部へ戻る