
ソフトブレーンを創業した宋さんは今年で来日30年を迎えました。宋さんは、成人後に来日した外国人経営者としては初めて東証マザーズ上場を果たすなど活躍されましたが、その後すぐに退任。こうした決断の背景に隠された思いや、創業者としての本音を語っていただきました。
才能の限界を知る

宋 文洲(そう・ぶんしゅう)
1985年北海道大学大学院に国費留学。天安門事件で帰国を断念し、札幌の会社に就職するが、倒産。学生時代に開発した土木解析ソフトの販売を始める。92年にソフトブレーンを創業。2000年東証マザーズに上場。04年経済界大賞「青年経営者賞」を受賞。05年東証1部上場を果たし、業界最大手に成長。06年同社会長退任、経営から退く。現在は経営コンサルタント、経済評論家として北京と東京を行き来する。
佐藤 宋さんは、ソフトブレーンを上場させてすぐに会長職を退かれました。社内でも惜しまれたでしょうし、創業者としての思い入れもあって大きな決断だったのではないでしょうか。
宋 これもなかなか理解していただけないのですが、中国人の中には「ある程度稼げたら早く辞めたい」という人がいます。私もそういった考えを持っていましたので、上場前から退職することは狙っていました。
佐藤 そうだったのですか。
宋 日本でこれを言うと「勝ち逃げ」と言われるんですよ。でも、僕はそういった考えがありません。タイミングを見計らって辞めようと思った理由は、自分の才能の限界を知っているからです。経営者になった時、多くの先輩経営者にお会いしました。間近で話を聞くたびに、彼らの経営への情熱や能力を思い知らされ、僕はそういう人間ではないと自覚しました。それに、もともと営業も苦手でしたからね。
佐藤 営業支援システムを提供する会社を創業したのに、営業が苦手とは意外です。
宋 苦手だからこそ、根性で営業しなくてもいいソフトをつくりたいと考えました。人間には向き、不向きがあります。創業に向く人と、会社を大きくすることに向く人がいますから。
佐藤 よく分かります。2代目経営者の私も、創業者の父とは維持継続していく役割が違いますから、比べることはできません。
宋 そのとおりです。両方やれるという人は珍しいです。僕は創業者タイプで、役割を果たしたから退くことにしたのです。今後もアイデアが生まれ、創業したいという思いが強まれば実行するかもしれないです。
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