政治・経済

 インターネット回線を使ったIP電話が何者かに乗っ取られて国際通話を勝手に発信され、利用者が高額の利用料を請求される被害が相次いでいる問題で、NTT東日本と西日本は、被害額の一部を補償すると発表した。

 両社は当初、通信の秘密を盾に、「通信回線の障害などの問題がない限り、被害額支払いの責任はない」(NTT東日本幹部)と主張していたが、被害を受けた中小企業の声や総務省に配慮した。

 また、被害拡大を防ぐため、これまで申し込みの翌営業日とし、最大約4日近くかかっていた国際通話の発信規制を、7月下旬から当日に完了できるよう手続きの迅速化を図る方針だ。

 補償対象は、NTT東西に発信規制を申し込んでから完了するまでの間に発生した被害で、計約120件に上り、補償額は7100万円前後。あくまでNTT側の通信回線の故障や不具合によって発生した被害ではないため、それ以外の通話料は請求するとしている。

 この問題では、IP電話を内線電話として利用している事業者を中心に、何者かがソフトウエアのセキュリティー機能の弱点を突いてインターネット経由で不正アクセスし、アフリカのシエラレオネなどに多数の国際通話を発信。被害額が500万円に上るケースも出ている。

 IP電話用アダプターの設定が外部から遠隔操作される状態だったり、IDやパスワードが初期設定のままだったりした利用者が被害に遭っている。

 高市早苗総務相は7月7日の閣議後会見で「中小企業など利用者側の設備が第三者に乗っ取られ、国際電話に利用されるケースが多いと承知している。総務省として、利用者に注意喚起した。昨日実施した研究会の議論を踏まえ、各事業者に対応を要請した」と話した。

 しかし、通信事業者、アダプター製造会社、役所とも膨大な被害額全体を保障する方針はなく、数百万円の被害に遭ったベンチャー企業にとっては「きちんとした説明があったわけではなく、経営への影響も大きい」と憤りを隠さない。

 儲かったのは自国の取り分が急増した零細国の国営通信事業者だけとみられている。

 

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