政治・経済

 国土交通省は7月から、全国9カ所の地方運輸局に観光政策を担う専任部署「観光部」を設置した。訪日外国人が急増している現状を踏まえ、首都圏や関西圏だけでなく、地方の観光地を周遊してもらえる環境づくりを急ぎ、一段の訪日客増加につなげたい考えだ。

 今回の組織再編では、北海道から九州までの全国の9運輸局にある「企画観光部」と「交通環境部」を、それぞれ「観光部」と「交通政策部」に改組した。

 とりわけ重要なのが観光政策で、「これまで分散気味だった観光政策と地方交通政策の業務を明確に区分けし、出先機関としての政策立案や情報発信力を高める」(国交省幹部)ことが狙い。国交省が地方運輸局の組織を再編するのは企画観光部を設けた2006年以来となる。

 安倍政権はかねてから、20年をめどに訪日外国人客を2千万人へ倍増する目標を掲げていたが、今年の訪日客は昨年の1341万人を大幅に上回る1700万〜1800万人のハイペースで推移。

 太田昭宏国交相も2千万人の達成時期について「20年より前倒しになる」との見通しを示すなど、事実上の上方修正を行っている。

 ただ、足下での訪日客の好調は円安やアジア各国の経済成長に助けられた面もあり、楽観できない。

 ダボス会議で知られる世界経済フォーラムが発表した「旅行・観光競争力報告書」によると、日本は141の国・地域中で9位に入ったものの、実際の観光客受け入れ数では27位にとどまり、首位のフランス(8472万人)などの「観光大国」には大差をつけられている。

 その最大の原因が、地方での訪日客受け入れ環境の整備の遅れと言われる。訪日客の行き先は東京や大阪、京都などいわゆる「ゴールデンルート」に偏っている。現状では地方観光に関する情報の少なさや宿泊施設の不足などもあって、誘客は進んでいない。

 地方運輸局が観光への取り組みを強化し、地元企業や自治体との連携を深めていけば、地域独自の観光資源をさらに磨き上げることも可能だ。それは訪日客の取り込みだけにとどまらず、人口減で縮む地方経済を活性化し、安倍政権の「地方創生」にもつながる。

 “一挙両得”を狙う意味でも、今回の組織再編の持つ意味は決して小さくない。

 

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