国際

 周知の如く、中国の株価(特に上海総合指数。以下、同様)は、2012年半ばから2014年半ばまでの2年間、2000ポイント程度の相場が続いた。

 

 一方、中国の「不動産バブル」崩壊は覆ようもない。全国主要70都市の多くは、2014年5月以来、今年6月まで、14ヶ月連続、不動産価格(新築住宅価格)を下げ続けている。全国各地のゴースト・タウン(鬼城)出現でわかるように、新築住宅過剰供給のツケがまわってきたのである。

 

 2014年5月、習近平政権は「新常態」(ニュー・ノーマル)という“レッセ・フェール”政策を打ち出した。経済を市場に任せたのである。そのため、今年、国有企業や(中央が監督・管理する)中央企業がデフォルトに陥った。

 しかし、中国経済は2014年11月から徐々に実態経済が悪化している。それは「中国版公定歩合」(貸出金利)の推移からも明らかだろう(第18回拙稿「『リーマン・ショック』後の景気後退期よりも悪い中国経済」をご参照いただきたい)。

 今年6月末には、ついに1~5年モノ貸出金利が5.25%と引き下げられ、ここ約20年間で貸出金利が一番低くなった。目下、中国経済は最悪なのである。

そこで、いったんは「新常態」を唱えた習政権だったが、“意図的”な「株バブル」の創出を目論んだ。そして、党の宣伝機関が「株は上がる」と一般庶民を煽ったのである。

 

 共産党の意図としては、「官製バブル」によって、①国有企業をはじめ業績の悪い中国企業救済するため、②一般庶民からの経済失政批判をかわすため、だったかもしれない。

だが、ひょっとすると、北京の真のネライは、「これ以上、不動産の値崩れを阻止するため」ではなかったのか。不動産の値崩れが続けば、中国経済はこのまま“沈没”してしまうからである。その点については、中国政府の発表するあらゆる経済数字を見れば、誰にでも明白だろう(ただし、“水増し”されたGDPを除く)。

 

 昨今の中国の株価をつぶさに見ると、昨年秋口以降、2000ポイントからじわじわと上昇し始めた。昨年末から今年1月には、3000ポイント超えを達成している。

 その後、3月から急激に株価が高騰し、4月には4000ポイント超えを果たした。さらに、5月には下旬以降、4500ポイントを超えたのである。そして、6月12日、ついに5166ポイントを記録した。2007年10月、史上最高値の6124ポイントをつけたが、それ以来の最高値である。

 他方、全国主要70都市のほとんど全部で不動産価格が、2014年7月以降、2015年2月までの8ヶ月連続、下降した。例えば、今年2月、前月比で新築不動産価格が上昇したのが2都市、下落したのが66都市(変化なしが2都市)だった。

 ところが、株価高騰と時を同じくして、翌3月から不動産価格が徐々に回復し始める。同月、前月比で新築の不動産価格が上昇したのが12都市、下落したのは50都市(同8都市)と復調の兆しが見えた。

 4月、前者(上昇)が18都市、後者(下落)が48都市(同4都市)、5月は前者が20都市、後者が43都市(同7都市)、6月は前者が27都市に増え、後者が34都市(同9都市)に減った。

 依然、(変化なしを除けば)半数以上の都市の不動産価格が下がっているが、このままの推移ならば、今後、反転もあり得る。

 

asia

 

  実態経済が悪いのに、なぜこのような事態が起きたのか。株で稼いだ一部の個人投資家(全体の約80%)や機関投資家が、不動産に再投資したと考えられよう。おそらく株式市場のマネーが再び不動産市場に流れ込んだのかもしれない。

 だが、6月12日をピークにして株価は騰落し、7月19日現在、4000ポイントを切っている。もしかすると、株価暴落のあおりを受けて、今年7月以降、再び不動産価格が下落に転じるかもしれない。

 ただし、もし7月以降も株価が再度、上昇するようであれば、不動産ブーム(=不動産バブル)の再来もあり得る。短期的には、その可能性も排除できないが、実態経済を見る限り、その公算は決して大きくはないだろう。

 

 

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