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低成長に入り経済構造の転換が困難な台湾

 2016年1月、台湾では総統選挙が行われる。最大野党・民進党は、蔡英文主席の総統選出馬が早々と決定した。他方、与党・国民党は最有力候補と目された朱立倫主席が総統選への出馬を辞退したので、一時、総統候補選びが迷走した。

 しかし、立法院副院長の洪秀柱が総統選へ立候補を表明する。洪秀柱は、総統候補の条件である30%以上の世論支持(実際は46%以上)を得て、国民党大会で総統選出馬が了承された。ただ、昨年11月の統一地方選挙の結果を見れば、蔡英文の勝利は、まず間違いないだろう。

 さて、「究極統一」を掲げる馬英九政権は、2008年5月の総統就任以来、徐々に「中国一辺倒」へ大きく舵を切った。経済的「中台統一」から将来の政治的「中台統一」を狙うためである。

 2010年6月、馬英九政権は中国との間で「両岸経済協力枠組協議」(ECFA)を締結した。同年9月、同協定は立法院で批准し、発効している。

 経済的に、台湾としては、中国が高成長をしている間、それで良かったかもしれない。けれども、今の中国経済の惨状を見る限り、すでに台湾に暗雲が垂れ込めている。

 中華民国主計総処統計によれば、馬英九政権誕生した2008年には、成長率は0.7%、09年には、(前年9月の「リーマン・ショック」の影響を受けて)-1.57%にまで落ち込んだ。

 翌10年には、反発して10.63%を記録した。だが、11年には3.8%、12年には2.06%、13年には2.23%、14年には3.77%、今年15年には3.28%(予測)となり、台湾が “低成長時代”に入ったことを裏付けている。

 また、台湾は、今年に入ってから、デフレ傾向にある。消費者物価指数が、1月は-0.94%、2月は-0.2%、3月は-0.62%、4月は-0.82%、5月は-0.74%、6月は-0.56%と、上半期連続でマイナスとなっている。

 周知の如く、台湾は貿易立国で、輸出依存度がきわめて高い(『グローバル・ノート』によれば2014年では58.82%。208の国・地域中、第20位)ところが、2011年を最後に、その後、輸出入がほぼマイナスに転じている。

 2012年には輸出額が-1.62%、輸入額が-1.28%、13年には輸出額が-2.06%、輸入額が-4.45%、14年には、輸出額が+0.10%、輸入額が-2.10%、今年15年上半期は、輸出額が-4.80%、輸入額が-13.61%と散々な数字である。だからと言って、急に内需を拡大すると言っても、経済構造の転換は決して容易ではないだろう。

貿易構造の転換が付加ならば台湾は中国と共に沈む可能性

 ところで、台湾の中国への輸出額は、2008年では総輸出額の26.09%、09年には26.61%、10年には28.02%、11年には27.22%、12年には26.79%、13年には26.77%、14年には26.17%と推移している。これに、香港への輸出額を含めると、台湾は対中輸出額が輸出額全体の40%前後ときわめて高い。

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  一方、台湾の輸入額に占める対中輸入額の割合は、2008年には総輸入額の13.06%、09年には14.01%、10年には14.29%、11年には15.48%、12年には15.12%、13年には15.77%、14年には17.53%と推移した(台湾は、かつて日本からの輸入額が最大だった。だが、昨年、ついに中国からの輸入額が初めて日本を抜き、最大となっている)。

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 このような状況下で、馬英九政権はさらに2013年6月、中国共産党と(中台のヒト・モノ・カネ・情報の流れを加速させる)「両岸サービス貿易協定」を締結し、ECFAを更に深化させようとした。

 これに対し、2014年3月、国民党が立法院で同協定を批准しようとした際、それに“待った”をかけたのが「ひまわり学生運動」である。突然、学生らが立法院を占拠した。そのため、審議が完全にストップしたのである。

 いったん膠着状態に陥ったが、王金平立法院長が学生らに「両岸協議監督条例」を制定し、それに従って再び「両岸サービス貿易協定」の審議することを約束した。そこで、学生らは立法院から退去している(ちなみに、この台湾の「ひまわり学生運動」が昨年9月に始まる香港の「雨傘革命」に火をつけたと言っても過言ではない)。

 今後、新総統の下、台湾が「中国一辺倒」に陥ることなく、貿易相手国を多角的に拡大することが求められているのではないだろうか。さもなければ、台湾は中国と共に沈む公算が大きい。

 

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