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中国経済に重要な意味を持つ北京冬季五輪

 今年7月31日、2022年の冬季オリンピックが北京に決定した。招致決定後、現地の雪や環境問題に焦点が当たっている。だが、実は、このニュースは、中国にとって経済的に重要な意味を持つ。

 習近平政権は昨年来「新常態」(本来は”レッセ・フェール”が基調)を掲げ、7%未満の低成長を認めた。ところが、今年6月、習政権は株価が騰落するやいなや、マーケットへ介入している。

 もし、株価が、昨年夏までの2000ポイント前後に戻れば、企業業績がたちまち悪化する。一部の企業(国有企業や中央企業を含む)は倒産の憂き目に遭うに違いない。失業者が増えれば、社会不安も増大するだろう。

 中国の個人投資家、約9000万人の多くは、信用取引で株を売買している(先進国は一般に3~4倍まで。だが、中国では、10倍はおろか100倍までレバレッジを認められたという)。そのため、一部の投資家の中には、株暴落で元金のすべてを失ったばかりでなく、巨額の負債を負い、自殺に追い込まれた者もいる。

北京は株価をどこまで支えられるか

 8月5日現在、上海総合指数は3694ポイント(終値)である。だが、北京が株価をどこまで支えられるのか疑問符が付く。

 周知のように、習近平政権は“恣意的”な「反腐敗運動」(「太子党」以外の「上海閥」や「共青団」を叩く)に精を出し、具体的な経済政策を示していない。それどころか、「倹約令」を公布し、贅沢を禁止している。これは、ドイツがギリシャに要求している財政緊縮策と同じであり、決して成長は望めないだろう。

 一方では、中国国内に、鉄やセメント等が過剰生産され、在庫の山となっている。習政権としては、これらを何とかしなければならない。だが、外需に頼っていたら、自ずと限界がある。そこで、北京はいったん内需拡大方針を打ち出した。

 けれども、個人消費を増やそうにも、中国の社会保障(失業保険、疾病保険、年金等)が欠如しているため、個人消費は容易には伸びないだろう。

  一番手っ取り早いのは、公共投資による内需拡大である。ただし、今の中国には、財政出動さえできないほど、国や民間に莫大な借金があるという(一説によれば、中国GDPの282%)。

 2008年9月「リーマン・ショック」後、当時の胡錦濤政権が景気対策のため、約40兆元(ある説では約400兆元)財政出動したからだろう。

 他方、全国にはすでに「ゴーストタウン」が各地に現出している。これらの多くは、「シャドー・バンキング」(影の銀行)を通じ、利子の高い「理財商品」によって建設された(ちなみに、「理財商品」はしばしば償還されないばかりか、債権者に元金が戻らないケースも多い)。

 しかし、マンションが売れ残ったり、価格が下がったりしたため、そのまま「ゴーストタウン」になったところもある。マンション建設が完了していればまだ良い方だろう。資金不足のため、途中で建設中止になった所も少なくない。

北京五輪招致を内需の切り札にしたい習近平政権

 そこで、習近平政権はアジア・インフラ投資銀行(AIIB)設立や「一帯一路」の「新シルクロード構想」(海のシルクロードと陸のシルクロード)をぶち上げ、外需拡大を模索している。

 けれども、AIIBに日米が創立メンバーとして入らなかったため、同銀行の格付けが低くなった。今では、AIIBが順調に動き出すのかどうか疑問視されている。明らかに、北京の誤算だろう。

 また、「新シルクロード構想」にしても、相手国にも都合があるので、北京の思惑通りに事が運ぶとは限らない。それに、時間もかかる。

 以上のように、習近平政権に残された経済対策はごく限られていた。そこで、国際的イベントの国内招致を狙ったのではないか。

 2008年の夏季北京五輪、2010年の上海万博、それに続くのが、2022年(習近平体制最後の年)、北京での冬季五輪である。

 習政権としては、五輪招致こそが内需の「切り札」である。他に、適当な景気対策は見当たらない。これとて、所詮、公共投資に他ならないだろう。だが、「ゴーストタウン」を増やすよりもマシである。また、2022年までという期限(ゴール)がはっきりしているので、投資がしやすいのは間違いない。

 現在、北戴河会議(年一度、現指導部や長老が河北省の避暑地に集まって非公式に開催)が開かれているはずである。ひょっとすると、今まさに、習近平・李克強らは、党長老たちから不動産価格・株価の下落の責任を厳しく追及されているかもしれない。

 

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