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出光・昭和シェルの経営統合で始まる業界再編成の行方

石油精製・元売り国内2位の出光興産と同5位の昭和シェル石油が、経営統合に向けた本格的な協議開始で合意した。実現すれば首位のJXホールディングスに迫る大型再編劇となる。2社の統合がエネルギー産業全体の再編への引き金になる可能性がある。文=ジャーナリスト/倉木智洋

 

JXと出光・昭和シェル連合の2強時代に突入

「昭和シェルは、世界の石油業界をリードする屈指の競争力を身に付ける上でのベストパートナーだ」(出光興産の月岡隆社長)

「国内にしっかりとした収益基盤を獲得して、世界へ乗り出していく。海外展開に向けて出光興産と、新しい枠組みをつくっていきたい」(昭和シェル石油の亀岡剛社長)

経営統合に向けた本格協議入りについて、7月30日に東京都内のホテルで会見した両社の社長は強い意気込みを示した。

具体的な手順としては、石油メジャーの英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルが保有する昭和シェルの株式33・3%(議決権ベース)を出光が買い取って筆頭株主になり、2016年をめどに統合する。株式取得額は1691億円に上る。2社合わせたガソリン販売の国内シェアは3割を超え、JXホールディングス傘下のJX日鉱日石エネルギーの33%と肩を並べる。コスモ石油、東燃ゼネラル石油を含む大手5社が競ってきた石油元売り業界は、JXと出光・昭和シェル連合の2強時代に入る。

出光の月岡社長は会見で、両社は既に製油所再編への手を打っているとして「(統合に伴う)製油所統廃合はしない」と明言した。

それでも互いの製油所を有効利用することで、自前の製油所から遠隔地域に製品を運ぶ手間を省けるなどの効果が見込める。収支を改善して財務基盤を強化し、出光がベトナムで進めている製油所事業などの海外展開を加速する方針だ。

2社統合の背景には、低燃費車の普及や人口減少に伴うガソリン需要の減退で国内石油製品市場の縮小が続き、業界が過当競争に陥っているという事情がある。ガソリンをはじめとする石油製品の需要は、ピーク時の1999年からこの間におよそ3割減った。

経済産業省が産業競争力強化法50条に基づいて14年6月にまとめた市場構造に関する調査報告によれば、省エネルギー技術の普及などで需要は今後も減り続けると予想され、このままだと「本格的な供給過剰構造に陥る恐れが大きい」という。

英蘭シェルが昭和シェル株を手放すのも、需要の先細りを見越したためと推測される。同社は14年半ば以降の原油価格急落などを受け、事業の選択と集中を進める方針を示している。採算性が悪化している日本市場からの撤退は、世界規模での事業再構築の一環というわけだ。

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