政治・経済

 昨年7月にソニーのPC事業が独立したVAIOは、2年目を迎えるに当たり、経営体制を改めた。6月8日付けで代表取締役社長に大田義実氏が就任し、前任の関取高行氏は退任した。大田氏は8月19日、就任後初めてとなる記者会見において、新体制の抱負を語った。

大田義実・VAIO社長

大田義実・VAIO社長

 創業1年での経営陣刷新となったが、大田氏の社長就任は「株主からのスカウト」であるとし、94.4%の株を保有するVJホールディングス2に出資する日本産業パートナーズ(JIP)の意向のようだ。

 大田氏はニチメン、双日と商社勤めが長く、その後、JIPが支援するサンテレホンやミヤコ化学で社長を務め、経営再建に手腕を発揮した。VAIO社長就任もその実績が買われた形だ。

 今回の会見で大田氏が語ったことは、大きくは組織再編、海外進出、新規領域事業の展開の3つ。

 大田氏はVAIO1年目を会社としての基盤を固める年だったと振り返り、2年目以降を成長する年と位置付ける。そのために掲げたのが「自立と発展」で、自立のために組織再編を行い、発展のために海外進出および新事業を展開する。

 まず組織再編については、営業部門を新設。今まで代理店に任せていた部分も自社で担い、製造から販売・サポートまで一気通貫の体制を構築する。

 海外展開は、米国とブラジルで販売を開始する。米国では販売代理店Transcosmos Americaを通じて、クリエイター向けタブレットPC「VAIO Z Canvas」を販売。ブラジルでは同国のPC大手のPOSITIVO INFORMATICAと協業し、VAIOブランドの製造を委託する。

 新規領域事業は、コンピューティング技術やロボット技術を生かして受託製造を行う。特にロボット技術はソニー時代にAIBOを製造していた知見が生かせるため、既に富士ソフトのコミュニケーションロボット「Palmi」の製造で実績を上げている。ロボットを含めた新規事業は現在売り上げの3割だが、これを2017年度に5割に引き上げるという。

 こうした動きは、大田氏の積極的な姿勢を表しているが、VAIOの現状を考えると機能するかどうかは分からない。

 VAIOはソニーから切り離され、200数名の少数精鋭で再スタートした会社だ。PCという成熟市場に対してターゲットを絞り、間隙をつくことに生き残りを賭けている。

 営業部隊の新設や海外展開などは「普通の会社」としては成長戦略の王道かもしれないが、今のVAIOの事業規模や陣容でうまく嵌まるかは疑問だ。

 ファンドであるJIPが早期の出口戦略を要求しているように映るが、大田氏の施策は性急すぎる印象を受ける。

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